オムロン制御機器事業が進めるデータ活用とソリューションビジネスの拡大:FAインタビュー(2/3 ページ)
オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 社長の山西基裕氏が合同取材に応じ、データを活用したソリューションビジネスの拡充を図る制御機器事業について語った。
ソルティスターの技術で他社機器との時間軸を統合へ
現場診断からi-Automation!の導入、継続までを一貫して提供するサービス「i-BELT」では製造、品質、エネルギーを主なテーマとして、生産性向上や省エネの支援を行っている。生産現場の管理経験者を含む50人強のコンサルタントが、経営層が抱える課題に対して、現場のどこに問題があり、どうすれば解決できるのかをユーザーとともに解決していく。現場固有の課題に対しては、グローバルで1700人超抱えるアプリケーションエンジニアが現場に合った形にチューニングを行う。
「現場のどこにボトルネックがあるのか見える化したいという引き合いが多い。例えば、工場の建屋全体では省エネを進めていても、現場は生産性と品質が第一で、組織の壁もあって、どこで生産性とエネルギー消費のトレードオフが起こっているのかなかなか特定できない。そこでわれわれのコンサルタントがセンサーなどを活用してエネルギー消費と生産量のデータをひも付けて見える化すると、因果関係が見えてきて組織の壁を突破できる」(山西氏)
その中で、2023年10月16日にシステム開発などを手掛けるソルティスターに48%出資することを発表した。ソルティスターは製造設備に関係する機器データを高速に時系列に統合する技術を有している。また、制御機器をはじめとした製造現場の知見を持ち、さまざまな設備への組み込み技術も備えている。
「例えば、オムロンの機器で1ms以下の速さでデータを収集できても、他の機器がそれより遅いとタイミングが異なるため因果関係をつかむのが難しくなる。オムロンだけでなくさまざまなメーカーの機器を1ms単位で全て同じ時間軸に同期させて分析することができるのがソルティスターの持つ技術だ。そして、それをPLCというある程度限られたメモリ領域に組み込む技術まで保有している。さらに製造現場の知見を持つ人材も多い。100社以上のリストの中で、ソルティスターだけがそれらを併せ持っていた」(山西氏)
オムロンは、ソルティスターの技術を組み込んだ制御機器の新製品を2024年度に発売する計画だ。
2023年10月には医療データサービスのJMDCを子会社化した。膨大なヘルスデータプラットフォームを通して培ったJMDCのデータ構造化、標準化のノウハウを、ヘルスケア事業だけでなく制御機器事業への展開も模索する。
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