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エネルギー生産性向上に向け、オムロンが松阪事業所で半減を目指す4つの要素とはスマート工場最前線(1/2 ページ)

オムロン ヘルスケアは温室効果ガス削減に向けてエネルギー生産性の向上を進めている松阪事業所(三重県松阪市)を報道陣に公開した。

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 オムロン ヘルスケアは2023年4月12日、温室効果ガス排出削減に向けてエネルギー生産性の向上を進めている松阪事業所(三重県松阪市)を報道陣に公開した。

 オムロングループでは2030年度までに自社のオフィス、工場から排出される温室効果ガスを2016年度比で65%削減し、2050年度には排出量を実質的に0にすることを目指している。また、エネルギー効率に関する国際イニシアチブ「EP100」に日本の製造業では初めて加盟し、2040年までに1GWh当たりの売上高比率を2016年比で200%にすることを目標に掲げている。

 オムロン ヘルスケアの松阪事業所では血圧計や体温計、ネブライザー(吸入器)などを生産しており、スコープ1(自社直接排出量)、2(間接排出量)については「減らす」「作る」「吸収する」をキーワードに温室効果ガスの排出削減に取り組んでいる。

血圧計ネブライザー 松坂事業所で製造している血圧計(左)やネブライザー(右)[クリックで拡大]出所:オムロン ヘルスケア

 減らすでは使用するエネルギーの削減だけでなく、エネルギー生産性の向上を進めている。エネルギー生産性は分母にエネルギー消費の絶対量、分子に売上高などを置いた指標だ。通常は生産量が増えれば、それに比例して使用エネルギー量も増す。松阪事業所では生産量が上がってもエネルギー消費を減らし、事業の成長とカーボンニュートラルの推進を目指している。

 松阪事業所は、エネルギー生産性向上のための重要な要素を「時間」「空間」「距離」「在庫」の4つとして、「All in Half」をスローガンに「従来の改善活動の継続ではなく、全てをリセットして、新たな視点で」(オムロン ヘルスケア 生産SCM統括部 統轄部長の鈴木礼子氏)これらの半減に挑んでいる。

エネルギー生産性向上のために重要な4要素実現に向けたスローガン エネルギー生産性向上のために重要な4要素(左)と、実現に向けたスローガン[クリックで拡大]出所:オムロン ヘルスケア

 まず取り組んだのはエネルギーの見える化だった。「事業所全体の消費量は分かっていたが、棟やフロア、生産ライン単位の使用量は分かっていなかった。いつ、どこで、どれだけのエネルギーを使っているかを見える化する必要があった」(オムロン ヘルスケア 生産SCM統括部 松阪工場 工場長の曽根直樹氏)。この可視化にはオムロンの制御機器事業の現場データ活用サービス「i-BELT」を活用した。それと並行して、自動機稼働率改善、生産ライン改善、需要連動型生産の3つを進めた。


「i-BELT」を活用して見える化したエネルギー消費量や生産性[クリックで拡大]出所:オムロン ヘルスケア

 はんだ付けを行うSMTラインのリフロー炉は、高温状態を保つため非稼働時もエネルギーを消費する。松阪事業所では、実装機の生産状態とエネルギー消費を時間軸で可視化することで非稼働時間を分析。予定している待機時間で効率的に製造できるタスクを割り当てることで、非稼働時間を稼働時間に切り替え、同じエネルギー消費量で生産性が1.4倍向上した。

 さらに、リフロー炉は一度電源を切ると、再び高温に安定させるのに1時間〜1時間30分程度かかっていた。そこで、補助剤であるフラックスを排除する換気の順番を入れ替えることで、立ち上げ時間が30分程に短縮でき、エネルギー消費を20%削減できることが分かった。

 生産性の向上とエネルギー消費の削減を合わせて、エネルギー生産性は1.75倍になり、同工程における基板1枚当たりの温室効果ガス排出量は43%削減が見込めるという。

自動機の稼働率改善による生産性向上の効果エネルギー削減効果 現時点で見立てる自動機の稼働率改善による生産性向上の効果(左)と、エネルギー削減効果(右)。いずれも現時点での見立て[クリックで拡大]出所:オムロン ヘルスケア
自動機の稼働率改善によるエネルギー生産性向上の効果
自動機の稼働率改善によるエネルギー生産性向上の効果[クリックで拡大]出所:オムロン ヘルスケア

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