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ヤマ発が考える、二輪車の楽しさと四輪車の安定性のベストバランスジャパンモビリティショー2023

四輪車の開発を凍結したヤマハ発動機から、“複数のタイヤがあるモビリティ”のコンセプトが再び登場した。

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2013年に披露した小型四輪車「MOTIV」[クリックで拡大]

 ヤマハ発動機は、2018年12月に4輪の乗用車開発を一時凍結を決定するまで複数のコンセプトカーを披露してきた。2013年に2人乗りの小型モビリティ「MOTIV」を発表。当初は販売も計画していた。また、2015年にはスポーツカーも披露した。

 四輪車の開発凍結に関し、ヤマハ発動機 代表取締役社長の日高祥博氏は「投入する地域や車両のタイプなどを検討してきたが、大量生産には難しさがあった。また、投資の回収も難しいという判断になった。普通の乗用車はいったんフリーズとなるが、複数のタイヤがあるモビリティの開発は今後も続く」と2018年12月の会見で語っていた。

 そんな経緯のあったヤマハ発動機から、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー、旧東京モーターショー)」(プレスデー:2023年10月25日〜26日、一般公開日:10月28日〜11月5日、東京ビッグサイト)で“複数のタイヤがあるモビリティ”のコンセプトが再び登場した。

2015年発表の2シータースポーツのデザインコンセプト「SPORTS RIDE CONCEPT」(左)。2017年にはSUVコンセプト「CROSS HUB CONCEPT(クロスハブコンセプト)」を披露した(右)[クリックで拡大] 出所:ヤマハ発動機

 披露されたのは、前2輪/後1輪の3輪フルオープンのEV(電気自動車)「TRICERA(トライセラ)」だ。単なるモックアップではなく、人が乗って運転可能な試作車を社内のテストコースで走らせているという。「面白くて難しいが、コツがつかめるようになるとさらに楽しい。エンジンか電動かは関係ない面白さがある。公道を走行する際の安全性は検証中だが、量産まで本気で持っていきたいと考えている」(ヤマハ発動機の説明員)。

 四輪車が自動運転に向かって進む中、バイクやボート、バギーなど趣味のモビリティを手掛けてきたヤマハ発動機として、人間が操縦する楽しさを追求したいという思いでトライセラを企画したという。二輪車の楽しさと四輪車の安定性のベストバランスを研究した結果、前2輪/後1輪の3輪となった。

3輪フルオープンのトライセラ[クリックで拡大]

 面白さを生むのは、3輪操舵(そうだ)だ。ステアリングで前輪の向きを変えるのとは別に、後輪の向きを自動もしくは手動で変えることができる。四輪車の後輪操舵と同様で、後輪を前輪と逆位相にすると旋回性能がアップし、同位相であれば車線変更が安定した平行移動になる。コーナリング中に後輪を動かすと旋回中心が変化し、難しさが生まれる。クルマともバイクとも違う操縦感覚を狙っているという。

 「自転車やバイクと似て、ある意味では難しいが練習すれば楽しくドライビングできるようになる。技術の成長が感じられ、運転の楽しみを深掘りできるのではないか。運転の楽しさはもっといろいろあると考えている」(ヤマハ発動機の説明員)。4輪のモビリティはスタートアップ企業による新規参入も含めてプレイヤーが多い。二輪車の楽しさを取り込み、趣味性を追求できるヤマハ発動機は、差別化を図りながら強みを発揮できそうだ。

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