OKIが国内唯一の水中音響計測施設を刷新、海洋事業拡大に向けた橋頭堡に:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
OKIは、静岡県沼津市の内浦湾で運用していた国内唯一の水中音響計測施設である固定式計測バージを33年ぶりにリニューアルし報道陣に公開。新たな名称は「SEATEC NEO」で、評価機材を吊り下げる開口部面積を1.5倍に大型化するなどした。
「海洋データインフラ活用サービス」の実現を目指す
OKIコムエコーズのエンジニアリング事業では、ソナー、音響測位装置、音響通信装置、音響映像装置といった水中音響機器の性能評価の他、AUV(自律型無人潜水機)やROV(遠隔操作型無人潜水機)などの水中ロボットの動作/性能確認などを行っている。現在行っている性能評価件数のうち、OKIやOKIコムエコーズで開発を進めている水中音響機器の性能評価が約6割を占めるが、残りの約4割は防衛省庁、大学/研究機関、民間企業など外部となっている。OKIコムエコーズ 代表取締役社長の大塚竜治氏は「AUVやROVはかなり大型化しており、固定式計測バージの外側で性能評価を行うこともあったが、やはり外部環境の影響を受けにくいバージ内で性能評価する方が作業しやすい。SEATEC NEOへの刷新により、大型の試験対象にも対応できるようになった」と説明する。
OKIの特機システム事業は、海洋分野におけるデータプラットフォーマーになるという将来構想に向けて、2025年までのSTEP1、2028年までのSTEP2、2031年までのSTEP3という3段階に分けたロードマップを描いている。2025年までのSTEP1では、国家プロジェクトを含めた研究開発事業に参画し、海洋におけるOKIのブランドを周知して行くことになるが、研究開発事業でOKIの強みになるのが防衛分野で培ってきたソナーをはじめとする水中音響技術とSEATEC NEOに代表される海洋計測設備の運用実績だ。
OKI 上席執行役員 特機システム事業部長の加藤洋一氏は「開発中の水中音響通信や海底の状態を把握するのに役立つ光ファイバーセンサーなどがあり、これらを連携した『海洋データインフラ活用サービス』の実現を目指す。また、注目を集める洋上風力発電所の維持管理でもこれらの技術を適用していけるのではないかと考えている」と述べている。
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