新たな海洋製品誕生を支援、“日本で唯一”の海洋試験設備を持つOKIコムエコーズ:モノづくり最前線レポート(1/2 ページ)
OKIは、海洋分野を強みと位置付け、事業強化を図っている。OKIの海洋事業への取り組みと、海洋環境での試験設備をそろえるOKIコムエコーズの取り組みについて紹介する。
日本は、領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた面積が約447万km2で、世界第6位の海洋国家だ。しかし、これまでは漁業などを除いて、この海洋資源を有効活用できてきたとはいえなかった。そこで、国家としても海洋基本計画などで、海洋におけるさまざまな資源開発やそれに関連する機器の開発などが進められており、ビジネスとしても関心が高まっているところだ。
その中で以前から海洋分野を強みの1つとして位置付け、事業強化を図っているのが沖電気工業(OKI)である。OKIの海洋事業への取り組みと、海洋環境での試験設備をそろえるOKIコムエコーズの取り組みについて紹介する。
3つのステップで海洋事業を強化、10年後には倍増へ
OKIは、特機システム事業として、防衛分野や民間航空分野、船舶・民間特機分野と並んで海洋開発分野への取り組みを強化している。その中で、従来防衛などで培った技術を民間に転用し新たなビジネス創出を目指すために海洋ビジネス開発部を設立。海洋音響ビジネスやOKIコムエコーズの持つ音波応用、センサー事業などの強化に取り組んでいる。
OKI 上席執行役員 兼 特機システム事業部長の加藤洋一氏は「海洋事業は、防衛事業で培った技術力やノウハウを民間に転用するスピンオフとして海洋・音響プラットフォームやソナーなどの展開を図る一方、民間で得られたノウハウを防衛事業に活用するスピンオンでも価値を生むと考えている。そのサイクルを回していく」と述べている。
海洋事業の展開としては3つのステップを想定する。まずステップ1として転用技術を生かした技術開発の推進と市場参入の機会創出を進める。そしてステップ2として、海洋モニタリングの実践と技術/製品の創出を進める。そしてステップ3として海洋データプラットフォームの構築や海洋空間可視化サービスの提供に取り組む方針だ。加藤氏は「現在の事業規模は250億円程度だが、ステップ3に到達するころには400〜500億円の規模まで成長させることを目指す。その頃には民間と防衛の売り上げ比率が同等になるようにしたい。ステップ3に行くまでには10年前後かかると見ている」と事業の展望について語っている。
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