富士通がPACTプログラムで世界初の社会実装に成功、企業間データ連携でCO2排出量を可視化:脱炭素
富士通は、WBCSDが実施した製品カーボンフットプリント情報の企業間データ連携の実現に向けた社会実装プログラムに参画し、サプライチェーン全体のCO2排出量の可視化に成功した。
富士通は2023年9月13日、World Business Council for Sustainable Development(WBCSD、持続可能な開発のための世界経済人会議)が実施した社会実装プログラム「PACT Implementation Program」で、サプライチェーン全体のCO2排出量の可視化に成功したと発表した。
WBCSDは、2021年6月にPartnership for Carbon Transparency(PACT、炭素の透明性のためのパートナーシップ)を立ち上げ、製品カーボンフットプリント(PCF)の算出方法やデータ連携の技術仕様について議論を進めてきた。
富士通は2022年11月より、PCF情報の企業間データ連携の実現に向けたPACT Implementation Programに参画。ノートPCのサプライチェーンを実例として、PACTに準拠した同社ソリューション「Fujitsu Track and Trust」などを活用して実データを連携し、PCFのCO2排出量を算出可能にした。
なお、サプライチェーンからのデータ収集と連携は長瀬産業が担当し、データ連携にはゼロボードの「Zeroboard」を活用した。
同社は今後もPACTへ継続的に参加し、実データ連携が可能なソリューション開発やサプライヤーエンゲージメントを通した取り組みを支援する。また、2023年度下期には、「EUバッテリー規則」「EU CSR指令」などの法規制に対応するデジタルサプライチェーンサービスを順次提供開始する。
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