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日本版データ共有圏「ウラノス・エコシステム」とは? 欧州データ包囲網への対抗軸製造業×IoT キーマンインタビュー(1/4 ページ)

世界中で「GAIA-X」や「Catena-X」などのデータ連携の枠組み作りが進む中、日本にはどのような取り組みが求められるのだろうか。2023年4月に正式に命名された日本版データ共有圏「ウラノス・エコシステム」の概要と狙いについて解説する。

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 経済産業省では2023年4月29日に、社会課題を解決に必要な、企業や業界を横断しデータを連携、活用するデータ連携に関するイニシアチブを「Ouranos Ecosystem(ウラノス・エコシステム)」と命名すると発表した。欧州の「GAIA-X」や「Catena-X」、デジタルプロダクトパスポートなど世界中でデータ共有の枠組み作りが進む中、日本にはどのような考えが求められ、その中でウラノス・エコシステムはどのような役割を果たすのだろうか。

 その仕掛け人であり、2018年に注目を集めた「DXレポート(※)」の生みの親でもある経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 アーキテクチャ戦略企画室長の和泉憲明氏にウラノス・エコシステムの目指す方向性について話を聞いた。本稿ではまずウラノス・エコシステムの概要を紹介した後、そこに込める思いについて和泉氏のインタビューをお伝えする。

(※)DXレポート:経済産業省が設置した有識者による「デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた研究会」での議論の内容を2018年にまとめて発刊したDXについてのレポート。「2025年の崖」などの注目フレーズなどもあり、さまざまな産業がDXに踏み出すきっかけや指針となった

ウラノス・エコシステムとは何か

 ウラノス・エコシステムは、人手不足や災害激甚化、脱炭素への対応といった社会課題の解決に向けて、企業や業界、国境を跨ぐ横断的なデータ共有やシステム連携を行うための、日本版のデータスペース(データ共有圏)である。単一の業界や企業が持つ情報だけでは解決が難しい問題などに対し、このデータスペースを経由してデータを相互活用することで、さまざまな課題解決につなげていくことを目指している。

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ウラノス・エコシステムによるシステム連携イメージ[クリックで拡大] 出所:経済産業省

 経済産業省をはじめとする関係省庁や情報処理推進機構(IPA)のデジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とともに、異なる複数の情報処理システムの連携の仕組みに関して、アーキテクチャの設計、研究開発と実証、社会実装、普及などへの取り組みを進めている。

 既に先行して、ウラノス・エコシステムのようなデータスペースを活用し、業界横断的な課題解決を進めるために、人流/物流DXおよび、商流/金流DXの2領域で取り組みを進めている。

 人流/物流DXについては、人手不足に伴う物流や人流の危機、災害激甚化など、デジタル技術によって人やモノの流れの課題を解決することを目指している。具体的には、自動運転車やドローン、サービスロボットなどの自律移動ロボットが行き交い、人や物の流れが最適化する仕組みの構築や、こうしたモビリティが安全かつ経済的に運行できる仕組みとして、運行環境を仮想空間に再現するデジタルツインとして「4次元時空間情報基盤」の構築に取り組む。

 商流/金流DXについては、契約から決済にわたる取引全体をデジタル化しアーキテクチャに沿ったデータ連携を可能とすることで、グローバルでサプライチェーン全体の強靱化と最適化を行うことを目指す。カーボンニュートラルや経済安全保障、廃棄ロス削減、トレーサビリティー確保などの社会課題の解決などへの活用を想定している。手始めとして、蓄電池や自動車を先行事例とし「サプライチェーンデータ連携基盤」の構築に関する取り組みを進めている。

 4次元時空間情報基盤やサプライチェーンデータ連携基盤は、2023年度(2024年3月期)にガイドラインの発行やオープンソースソフトウェアの提供を開始し、2024年度からはこれらを活用した公益デジタルプラットフォームによるサービスの提供開始を行うことを目指している。

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ウラノス・エコシステムによるデータ連携のイメージ[クリックで拡大] 出所:経済産業省
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