京セラユニメルコ、トレーサビリティー管理のためPLM「Aras Innovator」採用:製造IT導入事例
アラスジャパンは、同社のエンタープライズPLMパッケージ「Aras Innovator」を京セラユニメルコが採用したと発表した。
アラスジャパンは2023年9月7日、同社のエンタープライズPLMパッケージ「Aras Innovator」を、京セラユニメルコが採用したと発表した。
精密切削工具メーカーの京セラユニメルコは、1995年に開発したシステムが現在のPLMニーズに対応できなくなってきており、PDM(製品情報管理)システムの性能の不十分さが課題となっていた。他にも、バージョンの変更管理が非効率であること、製品設計要件のレビューに多くの時間を要すること、サポート終了後10年以上が経過し、システムの保守ができないなどの問題を抱えていた。
また、京セラユニメルコが提供している製品の特性上、製品データの完全な保護とトレーサビリティーが必要だが、従来のシステムでは原材料から最終製品までの全過程をトレースすることが難しかった。
京セラユニメルコでは、これらの課題を解決すべく、PLMプラットフォームの切り替えを検討。複数の製品を比較した結果、Aras Innovatorを採用した。
採用後は、全製品関連プロセスの効率が向上し、全ステークホルダーのデータベースとモジュールへのアクセスが改善できた。また、Aras Innovatorをカスタマイズすることで、バージョンやトレーサビリティー、設計変更などをより適切に管理できるようになった。
現在、京セラユニメルコの工具部門全体で約220人のスタッフがAras Innovatorを活用している。主要拠点のデンマークをはじめ、イギリスやアメリカ、リトアニアの各製造拠点にも導入されている。
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