液体中の金属元素を高精度に測定、偏光ゼーマン原子吸光光度計の新シリーズ:FAニュース
日立ハイテクサイエンスは、液体中の金属元素を測定する偏光ゼーマン原子吸光光度計「ZA4000」シリーズ4機種を発売した。測定対象以外の共存物による測定結果への影響を取り除き、安定かつ高精度な分析ができる。
日立ハイテクサイエンスは2023年9月1日、液体中の金属元素を測定する偏光ゼーマン原子吸光光度計「ZA4000」シリーズを発表した。試料を加熱して金属を原子化し、高精度に金属元素を測定する装置で、4機種を発売する。
原子吸光光度計は、試料を加熱することで金属を原子化し、金属元素を測定する。加熱方法には、炎を用いるフレーム法と電流を用いるグラファイトファーネス法の2種類がある。
同シリーズでは、フレームとグラファイトファーネス両用機「ZA4000」、フレーム専用機「ZA4300」、グラファイト専用機「ZA4700」、複数元素の連続測定に対応するラピッドシーケンシャルフレーム機「ZA4800」の計4製品をラインアップする。
独自の偏光ゼーマン補正法とデュアル検知方式によるバックグラウンド補正機能を、前シリーズから継続して搭載。測定対象以外の共存物などによる測定結果への影響を取り除く機能で、安定した高精度分析を提供する。
ZA4800では、測定に必要な波長の光を分光する回折格子の駆動機構を新たに設計し、光源のホローカソードランプの4本同時点灯を可能にした。これにより、同一試料に対して最大12元素の連続測定ができ、分析業務の時間を大幅に削減する。
他に、試料注入や測定終了などのタイミングを自動通知する機能や、グラファイトファーネス法での装置からのコンタミネーションを診断する機能を搭載。操作性を向上することで、初心者でも効率的な分析ができる。
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