インテルがガラス基板で半導体進化の限界を打ち破る、2020年代後半に量産適用:材料技術(2/2 ページ)
インテルは、複数のチップレットを搭載する大規模半導体パッケージの進化に貢献するガラス基板技術の開発を進めるとともに、10億米ドル以上を投資して研究開発ラインを構築したことを明らかにした。
ガラス基板の5つのメリット
ガラス基板では、現行の有機基板のコアとなっているガラスクロスがガラスパネルに置き換えられており、コア層の上下にある再配線層(RDL)は有機基板と同様に作り込むことになる。ガラス基板を用いるメリットは大まかに分けて5つある。1つ目は、酸化ケイ素から成るガラスパネルがシリコンダイやシリコンインターポーザーの基材であるシリコンと熱膨張係数が近いことだ。これによって、発熱などによるひずみを有機基板と比べて半減させられるので基板の面積をより大きくできる。2つ目は、ガラスパネルの平面性が極めて高いことで、これによって配線の微細化を進めやすくなる。最大で、ガラスコアと再配線層をつなぐ電極の密度を有機基板と比べて10倍にまで向上できるという。
3つ目は、コアを貫通する電極を有機基板よりも高密度に作り込めることだ。4つ目は、有機基板と比べて損失が少ないことで、より高い周波数で半導体を動作させられる。5つ目は、有機基板では難しい高温での動作も可能なことで、電力供給の面でさらなる進化につなげられる。
例えば、配線層の微細化は5μm以下、ガラスコアの貫通電極(TGV)のピッチは100μm以下が可能になる。また、インテルが開発したFCBGAなどの現行パッケージ技術で有機基板を用いる場合、サイズが最大120×120mmだったのに対し、ガラス基板に置き換えると240×240mmまで大きくすることができる。
試作したガラス基板の半導体パッケージでは、ガラスコアの上下に3層の再配線層を形成しており、ガラスコアの貫通電極のピッチは75μmとなっている。
なお、ガラス基板の量産適用については、2021年に新たに規定したプロセスノードで2025年以降の量産を予定している「Intel 18A」の次の世代になるとしている。
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