「ガンダム」を旗印にバンダイナムコグループが推進するサステナブルな取り組み:リサイクルニュース
バンダイナムコグループの横断プロジェクト「ガンダムプロジェクト」は、「ガンダムカンファレンス AUTUMN 2023」を開催し、2025年に向けた新たなガンダム戦略を説明した。本稿ではガンダムを活用した社会貢献プロジェクト(GUDA)の話題を中心にお届けする。
バンダイナムコグループの横断プロジェクトである「ガンダムプロジェクト」は2023年9月15日、オンラインで「ガンダムカンファレンス AUTUMN 2023」を開催した。
同カンファレンスでは、2025年の「ガンダム」シリーズ45周年と「ガンプラ」45周年に向けた取り組みである「GUNDAM NEXT FUTURE -ROAD TO 2025-」の進捗(しんちょく)および最新情報として、3D仮想空間でファンが交流できる「ガンダムメタバースプロジェクト」の他、映像展開、リアルイベント、ガンダムを活用した社会貢献プロジェクト「GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION」(以下、GUDA)に関する発表が行われた。そのうち本稿では、GUDAに関する内容を中心にお届けする。
日本全国に広がる「ガンダムR作戦」、大阪・関西万博への出展も
GUDAとは、ガンダムを旗印にバンダイナムコグループが取り組む社会貢献プロジェクトのことで、ガンダムの世界で表現される宇宙世紀の社会課題などを教訓とし、ファンや外部パートナーと連携しながら、より良い世界の実現に向けた活動を推進している。
その活動の一環として、バンダイナムコグループのBANDAI SPIRITS、バンダイナムコアミューズメント、ロジパルエクスプレス、バンダイナムコホールディングスの4社は、これまでゴミとして廃棄されていたガンプラを組み立てた後のランナー(プラモデルの枠の部分)を回収、リサイクルして、循環型社会の形成を目指す「ガンプラリサイクルプロジェクト」を2021年4月1日からスタート。2021年度は約11t(トン)、2022年度は約21tのランナーを回収し、これらを全量マテリアルリサイクルにつなげている。
同時に、ガンプラファンに対して、リサイクル活動への参加を促すための施策として、資源循環を身近に感じられるイベント「ガンダムR(リサイクル)作戦」を展開している。ガンダムR作戦とは、同プロジェクトの活動に賛同した企業の施設などを借りて、「エコプラ」(リサイクル素材を使用したプラモデル)の組み立て体験会やリサイクルプロジェクトの内容を紹介するイベントで、2021年に開始して以来、2年間で累計82カ所以上で実施し、延べ19万人超が参加。今年(2023年)は初めて47都道府県全てで実施しているところだという。
バンダイナムコグループ チーフガンダムオフィサー(CGO)の藤原孝史氏は「日本全国に広がったこうした輪は、世界に誇るべきガンダムファンの思いの結晶だ。より良い世界を目指して、バンダイナムコグループがガンダムを旗印に、ファン、あらゆるパートナーと手を組み、未来の子どもたちのためにアクションを起こすというGUDAの思想をまさに体現しており、世界へ発信していくべきものだ」と述べ、新たな取り組みとして、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)において、「ガンダムパビリオン(仮称)」を出展することを発表した。詳細は明かされなかったが「機動戦士ガンダム」を軸とした「もう1つの宇宙世紀」をテーマに、機動戦士ガンダムが示す未来の可能性などを提示するパビリオンになる予定だという。
さらに、2023年7月11日にバンダイナムコホールディングスは2025年日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会と連携協定を締結し、その取り組みの第1弾として、大阪府内の小学校を対象にプラモデル授業「ガンプラアカデミア」を展開する。ガンプラアカデミアとは、BANDAI SPIRITSのプラモデル生産工場である「バンダイホビーセンター」(静岡県静岡市)で行っているプラモデルの企画から設計、金型、生産までの工程や最新技術の他、プラスチック廃材のリサイクルなど持続可能なモノづくりのための取り組みについて学ぶことができる授業パッケージのことだ。
既に、国立、公立、私立、政令指定都市など大阪府内の全小学校(約1030校)に通う5、6年生約14万人を対象に、同年8月から随時ガンプラアカデミアの提供を開始。今回の取り組みによって、2021年度から開始したガンプラアカデミアの累計受講者数は50万人を突破する見込みだという。
また、今回のガンプラアカデミアでは、SDGs(持続可能な開発目標)教育の一助となるよう、使用済みランナーの回収における仕組みも新たに構築し、展開していく。「小学生たちには、ランナーを色ごとに分けて回収してもらう。この1工程がリサイクル結果に反映され、実体験としてリサイクル活動における“一手間の大切さ”を感じてもらえればと思う」(藤原氏)。
そして、小学校で回収されたランナーは、大阪・関西万博の機運醸成を目的とするインスタレーション作品(展示空間を使った作品)の制作に活用される予定である他、回収されたランナーを大阪・関西万博で使用する企画も検討されているという。
「大阪府内の小学生が回収したランナーが別のものへと生まれ変わり、大阪・関西万博で活用されるという、まさに未来を担う子どもたちとともに輝く未来社会をデザインするプロジェクトであり、大阪・関西万博のコンセプトを体現したものになっている。バンダナムコグループは、代表的なIP(知的財産)である機動戦士ガンダムを軸とし、大阪府と連携することで、大阪・関西万博のさらなる機運醸成とSDGsの達成に貢献していく」(藤原氏)
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