ヒトの脳サイズを撮像できる磁気粒子のイメージング装置を開発:医療機器ニュース
三菱電機は、1kHz以下の低周波でヒトの脳サイズの領域の磁気粒子を高感度に撮像できる、小型電源の「磁気粒子イメージング装置」を世界で初めて開発した。
三菱電機は2023年9月7日、1kHz以下の低周波でヒトの脳サイズの領域の磁気粒子を高感度に撮像できる、小型電源の「磁気粒子イメージング装置」を開発したと発表した。日本医療研究開発機構の支援のもと、岡山大学、大阪大学との共同研究による成果だ。
磁気粒子イメージング装置は、体内に注入した磁気粒子の磁気信号をコイルが発する交流磁場で誘起し、3次元画像を生成する装置だ。今回、低周波でも高感度にヒトの脳サイズが撮像できるように、交流磁場を発生するコイルと、信号検出コイルの配置を調整し、磁気信号の検出の障害となるノイズを最小化できる構造を確立した。
その結果、低周波化により電源容量を抑え、電源装置の小型化が可能となった。コイル内径はヒトの頭部サイズの300mm、本体外形は1600×2000×1900mmだ。
既に製品化されている小動物用の磁気粒子イメージング装置は、250kHzの高周波が必要とされている。小動物サイズからヒトの頭部サイズに大型化すると、コイル負荷と必要な電源容量が100倍になるため、既存の装置をそのままヒトに応用するには電源装置の大型化が必要だった。今回、低周波化に成功したことで、電源容量を既存の小動物用装置の4倍に抑えつつ、高感度の撮像を可能にした。
同社は、この装置を利用してアルツハイマー病を発症前に画像検査できる技術開発を目指している。2030年ごろの実用化を目標に、他社との協業も検討中だ。
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