学び直しの重要性をミドル/シニア層の70%が認識するも、実践者は14%:キャリアニュース(2/2 ページ)
パーソル総合研究所は、産業能率大学と共同で実施した「ミドル・シニアの学びと職業生活に関する定量調査」の結果を発表した。「学び直し」の重要性を70%が認識していたが、実際に学び直しをしている層は14%にとどまった。
組織や専門性、キャリア不安が及ぼす学び直しへの影響
また、組織の人材マネジメントの5つの要素である「上司の行動」「職務特性」「人事管理」「研修訓練経験」「職場の学習風土」について、「学び直し積極層」と「口だけ層」を比較分析した結果、学び直す意欲の行動化を促進する要素が確認された。
仕事関連の学びに対する、上司の熱心さがもたらす部下への影響も調べた。その結果、「上司が仕事関連の学びに熱心」だと、学び直す意欲のある部下が積極的に学び直すようになる傾向が見られた。
企業の人事管理別に見た「就業者の学び行動」は、企業の人事管理が「キャリアの透明性」「職務範囲の無限定性」「育成の手厚さ」が高い企業に属していると、学び直す意欲のある社員が積極的に学び直しをする傾向があった。
「キャリアのセルフアウェアネス」は、自分のキャリア全体の方向性を理解しているかといった自己認知を指す。この「キャリアのセルフアウェアネス」が学び直し意欲や行動にどう影響するかを調べると、学び直す意欲がある就業者の中で「キャリアのセルフアウェアネス」が高い群は、積極的に学び直しをしている傾向があった。
「専門性とキャリア不安」については、就業者の専門性が低いほどキャリア不安が高い傾向があった。「35〜44歳」と「45〜54歳」の「専門性低群」では、「将来の収入やキャリアに強い危機感を持っている」と回答した割合が約4割を占めている。
キャリア不安が及ぼす学び直しへの影響を見ると、キャリア不安が強いほど学び直す意欲が高い傾向があった。その傾向は、専門性の低い群で顕著だった。
しかし、専門性の高低に関わらず、どの群もキャリア不安が高いほど「口だけ層」の割合が高くなっている。一方、「学び直し層」の割合は、不安の度合いによる差がそれほど見られなかった。
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