国内製造業で拡大するサステナブル投資、脱炭素評価で利益生む仕組みづくりも進むか:ものづくり白書2023を読み解く(2)(3/5 ページ)
日本のモノづくりの現状を示す「2023年版ものづくり白書」が2023年6月に公開された。本連載では3回にわたって「2023年版ものづくり白書」の内容を紹介していく。
脱炭素の取り組みが評価される仕組みが必要か
日本の製造事業者において、脱炭素に向けた具体的な取り組みに着手している企業の割合は、大企業が約9割、中小企業が約5割であり、その内容としては温室効果ガスの排出量の削減や見える化、再生可能エネルギーの導入などとなっている(図7)。
実際に温室効果ガスの排出量の削減、見える化に取り組んでいると回答した企業が取り組みを行っている範囲を見てみると、大企業、中小企業ともに自社が直接排出する温室効果ガス(スコープ1)の削減、見える化は比較的進んでいる。一方で、原材料製造時や製品輸送時などに発生する温室効果ガス(スコープ3)については、削減、見える化ともにスコープ1よりも進んでいない。(図8)。
また、大企業の約8割、中小企業の約7割が、脱炭素に向けた取り組みによって利益やメリットを得ているという結果になっており、その内容としては「エネルギーなどのコスト削減」という回答が最も多く、大企業では、資金調達先(投資家、金融機関等)からの評価が向上したという回答がその次に多い(図9)。
一方で、その利益やメリットが取り組みコストに見合っている(もしくはその見込みである)と回答した製造事業者は、大企業、中小企業ともに利益やメリットを得ている企業のうち約4割となっている(図10)。2023年版ものづくり白書では、脱炭素に向けた取り組みにより利益やメリットを得るためには、自社の取り組みが評価される仕組みを作り、市場を拡大するなど、自社のビジネスを成長させる取り組みも必要だとしている。
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