国内製造業で拡大するサステナブル投資、脱炭素評価で利益生む仕組みづくりも進むか：ものづくり白書2023を読み解く（2）（2/5 ページ）

日本のモノづくりの現状を示す「2023年版ものづくり白書」が2023年6月に公開された。本連載では3回にわたって「2023年版ものづくり白書」の内容を紹介していく。

[長島清香，MONOist]

今後は過半数の大企業が「脱炭素への対応」を視野に

　日本の製造事業者がこれまでサプライチェーンの安定化に向けて実施してきた取り組みとしては、調達先の分散や国内生産体制の強化といった項目を挙げる企業が多かったが、これから実施する取り組みとしては、過半数の大企業が「脱炭素への対応」を挙げている（図4）。

図4：サプライチェーンの安定化に向けた取組の内容［クリックして拡大］ 出所：2023年版ものづくり白書

　また、前年と比較した場合の脱炭素に向けた取り組みの重要性の変化については、重要性が「大きく増している」「増している」と回答した中小企業の割合は約3割、大企業は約8割となっている（図5）。その背景としては、大企業、中小企業ともに「企業イメージの向上のため」と「顧客企業（B2B）からの要請」の割合が大きい（図6）。

図5：前年と比較した脱炭素に向けた取り組みの重要性の変化［クリックして拡大］ 出所：2023年版ものづくり白書

図6：重要性が高まっている要因［クリックして拡大］ 出所：2023年版ものづくり白書