使用済み家電や工場の廃材が生きる「ノモの国」、パナソニックの環境技術が光る大阪万博パビリオン:脱炭素(2/2 ページ)
パナソニック ホールディングスは2025年開催予定の大阪・関西万博で出展するパビリオン「ノモの国」における環境配慮の取り組みを紹介した。
工場から出る端材や廃材も活用
「工場で生じる端材や廃材」は、モノづくりの現場で出る端材や廃材をアップサイクルするノウハウや仕組みを生かしたものだ。パナソニックグループでは、端材の形状を図面データにしてデータベース化し、参照しやすい環境を整備する他、「二次利用エコシステム」と呼ばれる設計支援環境や、クリエイターや有識者と協業しやすい体制を整えている。
パビリオンでの想定活用例としては、応接室において、換気扇のパイプフードのステンレス板を用いた照明や、システムキッチンの人造大理石の端材を用いた洗面カウンター、テレビのプリズムシートを用いた照明などを挙げた。この他にも、端材を用いた設備の導入を検討しているという。
「世界中の廃材」では、アブラヤシの廃材をアップサイクルした「PALM LOOP」を活用する。PALM LOOPはパナソニックグループは独自技術でアブラヤシの廃材を家具に使用できるようにしたものだ。パビリオンではバーティカルブラインドや、洗面所の自動ドアの面材に活用する。自動ドアは木製化による軽量化で消費電力の低減を実現したタッチレス自動ドア「e-Kindoor」で、この素材にPALM LOOPを使う。
さらにパビリオンの応接室では、建築廃材や森林の未利用材を原料とするリサイクル材で作られた床材製品「サステナブルフロアー」を使用する。廃材を燃やさずに活用することで1坪当たり約38kgのCO2貯蔵に貢献するという。
パナソニックグループは人間と自然の循環の営みを重ね合わせて捉えて、「720度の循環」と表現している。これを受けてパナソニック ホールディングス 関西渉外・万博推進担当参与の小川理子氏は「720度の循環の中にいる自分の感性に気付き、ソウゾウする力を解き放つことで世界を変えていける、といった思いを子供が持ち帰れるようなパビリオンづくりを目指したい」と語った。
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