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原材料高騰しても営業利益は過去最高に、生産拠点の国内回帰も進む製造業:ものづくり白書2023を読み解く(1)(2/6 ページ)
日本のモノづくりの現状を示す「2023年版ものづくり白書」が2023年6月に公開された。本連載では3回にわたって「2023年版ものづくり白書」の内容を紹介していく。
「価格転嫁」は業種による差が顕著に
ここ数年で原材料価格やエネルギー価格の高騰など事業環境が変化している。これらに対して製造事業者が直近3年で実施した企業行動について、半数以上の企業が「価格転嫁(販売先に対する値上げ要請、消費者価格の値上げ)」「賃上げ(従業員への還元)」「人材確保」を挙げている(図11)。また、最も事業に影響した企業行動として「価格転嫁(販売先に対する値上げ要請、消費者価格の値上げ)」を挙げる割合が全体の約4割と最も大きく、次に「人材確保」「投資(有形固定資産)」の割合が大きい(図12)。
製造/販売する製品や部材の原材料調達における高騰分の価格転嫁の状況をみると、約7割の企業で価格転嫁が進んでいる。業種別にみると、鉄鋼業においては約8割以上の企業で進んだのに対して、電気機械、輸送用機械は6割未満にとどまる(図13)。また高騰分のうち、価格転嫁できている金額は50〜60%とする回答が最も多い(図14)。一方で、価格転嫁が進んでいない要因については、「取引先との交渉が困難」が約5割と最も大きく、次に「市場での競争が激しい」が約3割となっている(図15)。
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