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原材料高騰しても営業利益は過去最高に、生産拠点の国内回帰も進む製造業ものづくり白書2023を読み解く(1)(3/6 ページ)

日本のモノづくりの現状を示す「2023年版ものづくり白書」が2023年6月に公開された。本連載では3回にわたって「2023年版ものづくり白書」の内容を紹介していく。

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中国からの生産拠点の国内回帰が多数

 最近では海外工場の国内回帰が大きなトピックになりつつあるが、直近1年間の生産拠点の移転についてみると、生産拠点の移転(国内回帰、海外移転)を行った企業の中では、中国からの国内回帰が多かった。また、日本とASEAN諸国との間では、新規移転数が国内回帰数を上回った(図16)。


図16:生産拠点の移転の動向[クリックして拡大] 出所:2023年版ものづくり白書

 国内回帰の要因としては、新型コロナウイルス感染症への対応策として国内生産拠点の強化を図る製造事業者が多かった。他方、海外移転の要因については多くの製造事業者が「消費地生産」「労働者の量」といった要因を挙げており、労働力の調達先や市場として海外に期待を寄せていることが分かる(図17)。


図17:直近1年間の国内回帰と海外移転の要因[クリックして拡大] 出所:2023年版ものづくり白書

 今後の国内生産拠点と海外拠点の役割の住み分けについては、大企業、中小企業ともに、国内生産拠点を新しい技術や製品を生み出す拠点と考える企業の割合が最も大きい。また大企業に比べて、多品種少量生産や短納期生産に柔軟に対応する拠点と考える中小企業が多くみられる(図18)。


図18:今後の国内生産拠点の役割[クリックして拡大] 出所:2023年版ものづくり白書

 国内生産拠点を維持/拡大する場合に、政府に改善を期待する環境要因については、約6割の製造事業者が「工場労働者の確保」または「高度技術者、熟練技能者の確保」を挙げており、人手不足や技能伝承が課題となっていることが分かる(図19)。


図19:国内生産拠点を維持・拡大する場合に、国に改善を期待する立地環境要因[クリックして拡大] 出所:2023年版ものづくり白書

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