2030年の物流業界成長には自動運転と倉庫、物流システムの統一が不可欠に:製造マネジメントニュース
矢野経済研究所は、物流事業者に対して実施した、2030年の物流業界に関する調査結果の概要を発表した。物流業界の健全な成長には、無人運行手段の導入や倉庫の完全自動化、再生可能エネルギーの利活用などが必要になる。
矢野経済研究所は2023年6月6日、同年1〜3月に物流事業者に対して実施した、2030年の物流業界に関する調査結果の概要を発表した。
2030年の物流市場は、国内GDPの成長、物流費の上昇、営業用貨物自動車の輸送量の増加、ラストワンマイル領域における取り扱い個数の増加が想定される。一方で、人手不足が深刻化するのは明白であり、労働生産性の向上や物流の効率化、物流業界の構造改革を進められるかが健全な成長のために不可欠になるとしている。
人手不足への対応として、自動運転トラック、配達ロボット、宅配ドローンなどの無人運行手段の導入に加え、共同物流や中継輸送、トラック車両の大型化などによる輸配送の効率化が必要になる。また、関連企業が連携し、サプライチェーン全体で物流システムを構築して効率化するには、デジタル化による情報の標準化も前提要件となる。
さらに、倉庫実行システムや配車システム、ロボットの導入を進めることでアナログからデジタルへの移行を促進させ、規格の統一や標準化、属人的な情報の可視化により作業の均質化と一貫した工程の最適化を図る。環境(脱炭素)に向けた取り組みとしては、車両の電動化をはじめ、倉庫に太陽光発電システムを設置し電力消費を賄うなど、再生可能エネルギーの利活用を進める。
2030年の物流業界の理想的なシナリオとしては、主要高速道路への自動運転トラック用専用レーンの設置、AI(人工知能)とロボットシステムを導入した完全自動倉庫、地場配送(宅配)への自動配車システムの導入が順調に進み、2030年の物流業界が健全に成長することを期待する。
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