IoT機器含めた現場のネットワークをリアルタイム監視、OKIと大阪公立大が共同開発:IoTセキュリティ(2/2 ページ)
OKIは、大阪市内で開催している同社のプライベートイベント「OKIグループフェアin KANSAI 2023」に併せて会見を開き、大阪公立大学との共同研究成果を基に開発した「リアルタイムネットワーク監視システム」を発表した。
OKIの2工場で実証、大阪公立大学の森ノ宮キャンパスでも技術を展開へ
OKIの工場での実証実験は、沼津工場で2022年2月から、本庄工場で同年8月から始まっており、管理者が把握しきれない現場レベルでのイベントの通知/警告が可能になるなどの成果が得られている。海外を含めて他工場からも導入したいという要望も出ており、OKI社内での展開を急ぐ方針だ。
また、大阪公立大学が2025年後期の開設を目指す森ノ宮キャンパス(大阪市城東区)は、プログラマブル基盤によるビル設備の制御や、協調領域の開放を通じたイノベーション創出、アプリケーションによる大学研究成果の社会展開促進を目指しており、OKIとの共同研究成果をこれらを支える基盤となる信頼性の高い通信インフラに適用していく方針である。
リアルタイムネットワーク監視システムの外販時の価格については「エッジ分析装置に用いているハードウェアの価格が約20万円。そこにOKIと大阪公立大学の開発成果を盛り込んだソフトウェアの価格が加わるイメージ」(OKI)だとしている。
境界型セキュリティ対策は限界、ネットワークエッジ領域への対応が重要に
近年、ネットワークセキュリティの領域では、標的型攻撃による内部感染や、VPN(仮想プライベートネットワーク)機器の脆弱性を突いた組織内ネットワークへの不正侵入が増加しており、ネットワーク内部も安全と見なさない「ゼロトラスト」の概念が重要になっている。
また、工場における設備系のネットワークなど、従来は安全と考えられていたインターネット非接続環境においても、外部ネットワークとの連携やIoT機器の利活用が拡大し、管理が不徹底なIoT機器を侵入口としたサイバー攻撃の被害が発生している。このため、従来のファイアウォールのような境界型のセキュリティ対策だけでは、外部からの不正侵入を検知することが難しくなっており、組織内ネットワークの各拠点や現場に当たるネットワークエッジ領域におけるセキュリティ対策が求められている。
今回発表したリアルタイムネットワーク監視システムは、このネットワークエッジ領域のセキュリティ課題の解決に向けてOKIが提案する最適解の一つになる。
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