OKIのフラグシップスマート工場が始動、「外部化」見据えた実践の場として活用:スマート工場最前線(1/4 ページ)
OKIは、本庄地区(埼玉県本庄市)の新工場「OKI本庄工場H1棟」の本格稼働を開始し、自動化を実現する新設備などを公開した。
OKIは、本庄地区(埼玉県本庄市)の新工場「OKI本庄工場H1棟」の本格稼働を開始し、2022年7月6日に報道陣に自動化を実現する新設備などを公開した。
新たなモノづくりの実践の場
OKIではDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略として、社内におけるさまざまな実践内容をノウハウ化し外部に展開する「外部化」を進める方針を示している。モノづくりの能力やノウハウの外部化はその取り組みの中核としての位置付けだ。新工場「OKI本庄工場H1棟」は、本庄工場内に新たに設立されたフラグシップ工場としてこれらの実践の場としての役割を担っている。
OKI 代表取締役社長の森孝廣氏は「グローバルでのカントリーリスクが大きくなる中、国内の生産力は重要になってきている。生産機能はメーカーの心臓だ。時代の変化に合わせた将来を見据えた挑戦が必要だ。新工場では規模だけでなくZEB認定などさまざまな挑戦を行っている。加えて、DX戦略における外部化として、モノづくり総合サービスを展開するための拠点としての役割も担う」と語っている。
OKIではモノづくり基盤強化として、「ポータビリティ(生産移行性)」「スマート工場化」「システム統合」の3つの強化を推進している。新工場を含む本庄工場は「OKI Style Square HONJO Base」として、このモノづくり基盤の力を示すアピールの場と位置付けられている。
OKIの本庄工場は1962年に設立され、電話機や電話交換機の量産主力工場としての役割を担ってきた。その後、PBXや構内PHS、光回線終端装置などの製造も行うようになり、現在はAIエッジコンピュータや消防システムなどの社会インフラシステム製品の製造なども行っている。高い信頼性が要求される製品を製造してきた実績に加え、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などを活用したスマート化や、「バーチャルOne Factory」化を実現するポータビリティ確保に向けてさまざまな取り組みを進めてきた実績を持つ。新工場では、これらの本庄工場でのノウハウに加え、OKIが持つ国内外20拠点での先進的な事例を取り入れている。
自由なレイアウトとシステム基盤の統合により生産移行性を実現
ポータビリティ性については、まず近い分野の製品を作る工場において生産管理システムと品質マネジメントシステムなどの統一を推進している。生産工場が異なっても同じ工場で生産しているような自由自在に変化に対応できる仕組みの構築に取り組んでいる。実際に、今回は本庄工場と沼津工場でこれらのシステム統合が進んでいたことで、沼津工場で生産していた社会インフラシステム製品を新工場に円滑に短期間で移管できたという。
また、新工場そのものもポータビリティを実現するためのさまざまな工夫を取り入れている。生産フロアでは、柱の間隔を20×18.75mと間隔を広げていることに加え、天井をグリッド状のパネル型としており電源やエアー、LAN配線をこのパネルを開けることでどこでも簡単に通せるようにした。これにより、容易なレイアウト変更を可能とし、生産ラインや設備の自由な配置を実現している。
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