TRONプロジェクトがIEEEマイルストーンに認定:組み込み開発ニュース
トロンフォーラムの「TRONリアルタイムOSファミリー」が、IEEEの「IEEE Milestone」に認定された。オープンイノベーション型プロジェクトとして仕様書やサンプルソースコードを広く提供し、開発者のイノベーションを促進した点などが評価された。
トロンフォーラムは2023年6月22日、「TRONリアルタイムOSファミリー」がIEEE(米国電気電子学会)の「IEEE Milestone」に認定されたことを発表した。
IEEE Milestoneは、電気や電子の分野で開発から25年以上経過し、社会と産業の発展に貢献した歴史的業績を認定する制度だ。
今回受賞したMilestoneの正式名称は「TRON Real-time Operating System Family, 1984」で、1984年にスタートしたプロジェクト(TRONプロジェクト)が対象となる。東京大学の坂村健氏(当時)の下で、コンピュータアーキテクチャのプロジェクトチームと、そのパートナー企業が実施した。
TRONプロジェクトは、組み込みシステムの効率的な開発環境を確立するため、当時では珍しいオープンイノベーション型プロジェクトとして実施された。この開発環境の中核として企画研究、開発したのが、TRONリアルタイムOSファミリーとなる。同OSは広く使用されており、現在も改良され続けている。
IEEEは認定理由として、仕様書やサンプルソースコードをオープンかつ自由に提供し、開発者や利用者のイノベーションを促進したことを挙げる。また、同OSが航空宇宙機器や産業機器、車載機器、家電製品など、世界中で数十億台の組み込み機器に採用されていることを評価した。
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