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IoT-EngineがSigfoxと連携、アグリゲートコンピューティングの世界は広がるか2019 TRON Symposium(1/3 ページ)

「2019 TRON Symposium」の展示会場では、構想発表から4年が経過し、一定の熟成を見せつつあるIoT-Engineの関連製品が披露された。Sigfoxを用いた通信に対応するなど、IoT-Engineにつながる世界は着実に広がりつつある。

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 TRONプロジェクトが提唱する「アグリゲートコンピューティング」を実現するために策定された「IoT-Engine」は、IoT(モノのインターネット)のためのオープンな標準プラットフォーム環境である※1)。2015年12月の「2015 TRON Symposium」でその構想が発表され、翌2016年12月の「2016 TRON Symposium」では半導体メーカー7社が、IoT-Engine向けの開発ボードの製品化を発表している。

※2)関連記事:動き始めた「IoT-Engine」、「Smart Analog」との連携も

 「2019 TRON Symposium」(2019年12月11〜13日、東京ミッドタウン ホール)の展示会場では、構想発表から4年が経過し、一定の熟成を見せつつあるIoT-Engineの関連製品が披露された。前回の「2018 TRON Symposium」から、展示会場内に専門の「IoT-Engineパビリオン」を設けなくなったが、着実にIoT-Engineにつながる世界は広がりつつある。以下に各社の展示を見ていこう。

SigfoxのRFモジュールはNECが開発

 IoT-Engineで利用可能な機能オプションとして新たに加わったのが、LPWA(低消費電力広域)ネットワークの1つであるSigfoxだ※2)。これまでIoT-Engineの無線通信はIEEE 802.15.4をベースとする6LoWPANの利用が前提になっていたが、IoTがさまざまな通信技術との組み合わせによって新たな価値を発揮することを考えれば、6LoWPAN以外の無線通信も選択できた方が利便性が高まる。

※2)関連記事:いまさら聞けないSIGFOXネットワーク入門

 今回、各社の展示に用いられたIoT-Engine向けのSigfox RFモジュールを開発したのがNECだ。さらに同社は、独自に展示ブースを構え「LPWA活用エッジAIソリューション」を披露した。

NECの「LPWA活用エッジAIソリューション」の概要
NECの「LPWA活用エッジAIソリューション」の概要(クリックで拡大) 出典:NEC

 同ソリューションは、IoTの枠組みとしてIoT-Engine、LPWAはSigfox、エッジAIを動作させるプロセッサはルネサス エレクトロニクスの「RZ/A2M」を採用している。Sigfoxは、消費電力が低く通信コストも安価だが、1回当たりの通信容量は12バイトとかなり制限される。そこで、ルネサスが独自に開発した動的再構成が可能なプロセッサ技術「DRP(Dynamically Reconfigurable Processor)」の採用により高性能のエッジAIを低消費電力に動作させられるRZ/A2Mを組み合わせることで、通信には軽いデータを生成するだけで済まそうというコンセプトだ。

 展示では、カメラを使って複数のサイコロの大きさと出目を判別し、出目の判別結果だけを数値としてSigfoxを用いてサーバ(クラウド)に送信する様子を見せた。「物流現場の検品での活用に向けた提案活動を進めている。NEC社内でのPoC(概念実証)も始める計画だ」(NECの説明員)という。

「LPWA活用エッジAIソリューション」のデモの様子
「LPWA活用エッジAIソリューション」のデモの様子。サイコロの大きさと出目を判別し、出目の判別結果をSigfoxで送信する(クリックで拡大)
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