IoT-EngineがSigfoxと連携、アグリゲートコンピューティングの世界は広がるか:2019 TRON Symposium(2/3 ページ)
「2019 TRON Symposium」の展示会場では、構想発表から4年が経過し、一定の熟成を見せつつあるIoT-Engineの関連製品が披露された。Sigfoxを用いた通信に対応するなど、IoT-Engineにつながる世界は着実に広がりつつある。
4社がIoT-EngineとSigfoxを組み合わせた合同デモを展開
IoT-EngineとSigfoxを組み合わせた合同デモンストレーションを展開していたのが、シマフジ電機、明光電子、ユーシーテクノロジ、アプリックスの4社だ。
シマフジ電機のデモは、ルネサスの「RZ/T1」を搭載するCPUモジュールにつなげた4つの加速度センサーのデータを常時計測し、加速度の値が閾(しきい)値以内かそれを超えたかをSigfoxでサーバに送信する内容になっていた。
明光電子が用いたのは、高精度なアナログフロントエンド(AFE)を搭載するルネサスのマイコン「RX23E-A」の評価ボードである。重量センサーとRX23E-AのAFE、7セグ7桁の表示が可能な液晶パネルを制御する16ビットマイコン「RL78」を用いて、測定重量が閾値以内かそれを超えたかをSigfoxでサーバに送信するというデモを行った。
ユーシーテクノロジは、ルネサスのマイコン「RX231」を用いたIoT-Engineの評価ボードとつなげたモーションセンサーの測定結果をSigfoxでサーバに送信するデモを披露した。サーバへの送信内容と連動する表示画面では、センサーの上で手をかざして左から右へ動かすと「RIGHT」、右から左へ動かすと「LEFT」と表示される。
アプリックスは、合同デモンストレーションにおけるIoT-Engineからサーバへのデータ収集や、収集したデータについての表示を行うアプリケーションを開発した。なお、同社のデモは、流量センサーとSigfox対応のセンサーゲートウェイ「IoTIZR」を組み合わせており、IoT-Engineは用いていない。
TRONプロジェクトのアグリゲートコンピューティングは、エッジノード側で用いるデバイスのベースとしてIoT-Engineがあり、多数のIoT-Engineへの高度なアクセスコントロール(ガバナンス管理)を行うシステムとして「IoT-Aggregator」がある。アプリックスのデモは、IoT-Engineは使わないもののIoT-Aggregatorの実現を目指しており、実際にIoT-Engineを用いる他3社と同じサーバ上でデータを取り扱っている。「シマフジ電機のRZ/A2Mを搭載する評価ボードを中核に、各種センサーやパブリッククラウドと組み合わせたエッジデバイス開発支援パッケージ『EdgeEngine(仮称)』の開発も進めており、2020年4〜6月期に提供する計画だ」(アプリックスの説明員)という。
なお、今回のデモに用いられたSigfox RFモジュールは、ユーシーテクノロジから開発キットとして2020年内に発売される予定である。
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