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業務効率化の道具箱(13)便利なツールと裏腹の「地雷」を踏まないために山浦恒央の“くみこみ”な話(166)(3/3 ページ)

ソフトウェア開発にとどまらない、PCを使う全ての人が対象となるシリーズ「業務効率化の道具箱」。第13回は、ツールの導入/運用時にありがちな「地雷」をケーススタディー形式で紹介する。

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4.5 ケース5:ツール導入の目的が達成できない

ツールを使用すれば目的が達成できると思ったが、調べていくとできないことが分かった

 これは、ケース4の逆パターンで、ツールを使ったけど目的が達成できなかったケースです。当初、ツールを使用すれば目的が達成できると思ったのですが、進めると目的達成が困難でした。ツールがうまく使用できれば、作業がスムーズにいくはずだったのですが、無駄な時間を使いました。

 上記のように、ツールを使用しても目的が達成できないことがあります。リスク管理の観点からうまく使用できないことも考える必要があるでしょう。

4.6 ケース6:慣れないツールで生産性が落ちる

慣れないツールを使用して開発を進めたため、生産性が異常に落ちた

 ツールの習熟度が低いツールを使用して開発を進めることになりました。このツールを使用すると、工数削減で大きな効果があるようですが、チームメンバーはツールについて詳しくありません。結果、従来手法では10分で終わる作業が、ツールを使用すると、数時間、場合によっては数日かかることもありました。

 加えて、このプロジェクトでは、このツールを使用することが前提となっており、従来の方法を使えません。そのため、筆者は毎日、「今までのやり方なら一瞬なのに……」と何回もため息をつき、業務を進めました。

4.7 ケース7:無償ツールが有償ツールに

使用していた無償ツールがある日突然有償ツールに変わり、慌てた

 愛用していた無償ツールがあったのですが、ある日、もうすぐ有償になることが分かりました。チーム内は慌てます。「あのツールが有償になって使えなくなったらどうすんの?」とのやりとりがありました。ツールを購入すると会社の資産となるため、社内の審査を通さねばならず、簡単には購入できません。結果として購入できましたが、ツールが無くなることへの恐怖感を感じました。

 世の中には無償にもかかわらず、強力なツールが数多くあります。筆者が無償ながら、強力なツールと痛感しているのが、Diffツールやバージョン管理ツールです。これらは、ソフトウェア開発に必須のツールで、無償であることのありがたさを日々感じています。

 無償ツールには、いつ有償になるか分からない危険性があります。気付かずに使用すると、最悪の場合、お金を払ってないユーザーと認定され、高額な損害賠償を受ける可能性もあります。ここは非常に要注意です。

5.終わりに

 今回は、ツールの導入/運用時に生じる可能性のある問題点をケーススタディー形式でまとめました。他にもいろいろあるでしょうが、ツール導入時の参考になれば幸いです。次回もその他のケーススタディーを紹介する予定です。

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【 筆者紹介 】
山浦 恒央(やまうら つねお)

東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士)


1977年、日立ソフトウェアエンジニアリングに入社、2006年より、東海大学情報理工学部ソフトウェア開発工学科助教授、2007年より、同大学大学院組込み技術研究科准教授、2016年より非常勤講師。

主な著書・訳書は、「Advances in Computers」 (Academic Press社、共著)、「ピープルウエア 第2版」「ソフトウェアテスト技法」「実践的プログラムテスト入門」「デスマーチ 第2版」「ソフトウエア開発プロフェッショナル」(以上、日経BP社、共訳)、「ソフトウエア開発 55の真実と10のウソ」「初めて学ぶソフトウエアメトリクス」(以上、日経BP社、翻訳)。


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