もっと便利でコスパのいいモノがあったとしても、これがいい
マツコ・デラックスさんのテレビ番組「マツコの知らない世界」が好きです。さまざまな分野のマニアが登場し、自分の興味関心について語る番組です。過去の放送で私のお気に入りは、叶姉妹が“何も入らないバッグ”を紹介した回です。
女性向けのバッグ、特に豪華なパーティーなどに持っていくような非日常的なデザインのバッグの中には、口紅とハンカチを入れたらもういっぱい、というとても小さなものがあります。それらはバッグというより装飾品の1つなのでしょう。叶姉妹がコレクションする何も入らないバッグはとてもすてきでした。
コレクションできるくらいですから、何も入らないバッグはさまざまなブランドから出ています。それぞれのバッグの値段までは記憶していませんが、相当な高額であるはずです。単に値付けが高価なのではなく、職人が手作業でつくったものや叶姉妹のために用意された一点モノなど特別なバッグが番組に登場しました。
そのような何も入らないバッグは合理性からは懸け離れています。もっとたくさんモノが入って、もっとリーズナブルな価格のバッグがたくさんあるからです。その中からパーティー用だってなんだって選べます。でも、何も入らないバッグには何物にも代えがたい個性や価値があります。それが手元にあることでうれしい気持ちになり、合理的じゃないからこそのぜいたくさが楽しめるのでしょう。豪華なパーティーに縁のない私にも、そのことは想像できます。
先日発表されたレクサスブランドのBセグメントのコンパクトSUV「LBX」を見ていて、プレミアムな小さいクルマにも似たところがあるのではないかと考えていました。
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