製造業のDXプロジェクトはなぜ失敗してしまうのか?(後編):DX時代のPLM/BOM導入(13)(5/5 ページ)
今回が本連載の最終回です。DX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトが失敗する原因について、グローバル製造業の経営企画部門所属の音更さんと経営コンサルタントの鹿追さんに、BOM(部品表)やPLMを軸に議論してもらいましょう。
「改革プロジェクト7つの失敗原因」のチェックリスト
ここまでお話ししたことを7つの失敗原因として以下の図にまとめておきました。今回、冒頭で簡単な診断でプロジェクトの成否が分かると言いましたね。その診断に使えるチェックリストがこれなのですよ。
書かれていることは当たり前のように感じますが、気付かぬ内に陥っていることも多いと思います。部署に戻ってからプロジェクト関係者を共有して、修正すべきところがないかチェックしてみます!
エンディング
ところで音更さん、2022年の8月からDX時代のグローバルPLMについて議論を続けてきましたが、全体的にいかがでしたか?
最新のグローバルPLMに関するコンセプトだけでなく、PLMやBOMの歴史的な背景やDXに至った経緯、プロジェクト推進の心構えまで教えていただいて本当に勉強になりました。ありがとうございました。
多くの製造業が今回の連載を読んでDX改革を成功させ、製造業が活性化するといいですね。それでは、この辺で失礼します。
筆者より
2021年9月から継続してきた連載、長期間に渡りご愛読いただき、誠にありがとうございました。また新しい改革事例やコンセプトが出てきましたら、お目通しの機会をいただければ幸いです。
⇒連載「DX時代のPLM/BOM導入」バックナンバー
⇒製造マネジメントフォーラム過去連載一覧
⇒特集「製造業DX 事例集」はこちら
著者プロフィール
三河 進
株式会社グローバルものづくり研究所 代表取締役
大阪大学基礎工学部卒業。
大手精密機械製造業において機械系エンジニアとして従事後、外資系コンサルティングファーム、大手SI会社のコンサルティング事業を経て、現職に至る。
専門分野は、製品開発プロセス改革(3D設計、PLM、BOM、モジュラー設計、開発プロジェクトマネジメントなど)、サプライチェーン改革、情報戦略策定、超大型SIのプロジェクトマネジメントの領域にある。また、インターナショナルプロジェクトにも複数従事経験があり、海外拠点のプロセス調査や方針整合などの実績もある。
主な著書
・「図解DX時代のPLM/BOMプロセス改善入門」,日本能率協会マネジメントセンター(2022)
・「5つの問題解決パターンから学ぶ実践メソッド BOM(部品表)再構築の技術」,日本能率協会マネジメントセンター(2018)
・「製造業の業務改革推進者のためのグローバルPLM―グローバル製造業の課題と変革マネジメント」,日刊工業新聞社(2012)
・「BOM/BOP活用術」,日経xTECH(2016)
・「グローバルPLM〜世界同時開発を可能にする製品開発マネジメント」,ITメディア社MONOist(2010)など多数
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ≫「DX時代のPLM/BOM導入」のバックナンバーはこちら
- PLMとBOMの基礎知識(2):PLMの進化の歴史を振り返ろう
本連載では製造業DXの成否において重要な鍵を握るPLM/BOMを中心に、DXと従来型IT導入における違いや、DX時代のPLM/BOM導入はいかにあるべきかを考察していく。第11回は、PLMに求められる機能の歴史を解説する。 - 製造業DXに必要なPLMの3段階デジタル化
本連載では製造業DXの成否において重要な鍵を握るPLM/BOMを中心に、DXと従来型IT導入における違いや、DX時代のPLM/BOM導入はいかにあるべきかを考察していく。第2回はDXを実現するまでに必要な「3段階のデジタル化」を解説する。 - PLMが製造業のDXを高度化する、ダイナミックケイパビリティ獲得に向けて
本連載では“品質”と“コスト”を両立したモノづくりを実現するDX戦略を解説する。第3回は製造業におけるダイナミック・ケイパビリティを獲得する上でPLMが果たす役割を紹介する。 - 5分で分かるIoT時代のPLMとは
IoT時代を迎えて製造業のためのITツールもその役割を変えつつある。本連載では、製造ITツールのカテゴリーごとに焦点を当て、今までの役割に対して、これからの役割がどうなっていくかを解説する。第4回はPLMだ。 - モノのインターネットはPLMにどういう変化をもたらすのか
IoTがあらゆる製品に変化をもたらすといわれている中、設計・製造系のシステムが変化しなくていいのだろうか。「エンタープライズ・オープンソース・ビジネスモデル」として独自のPLMを展開する米国Arasの創業者でCEOであるピーター・シュローラ(Peter Schroer)氏は「古いPLMは競争力を失う」と指摘する。同氏にIoTによる製造業の環境の変化とPLMの変化について聞いた。