創業2年の商用EVベンチャーが“Appleのような”ファブレス生産を実現できた理由:電動化(2/4 ページ)
フォロフライ、丸紅、太陽インキ製造が東京都内で開催したプレスセミナー「急拡大するEV市場と、需要高まる注目セクション」から、講演「商用EVから加速する日本の自動車産業の電動化と、ベンチャーの起こすゲームチェンジ」と「自動車:電子部品最後のフロンティア」をお送りする。
Appleのようなファブレス生産とは?
フォロフライの採用実績では、物流大手のSBSホールディングスグループが1万台の導入を決定しており、北海道や沖縄県などSBSグループの拠点に順次導入することが決まっているという。事業連携では、関西電力や大阪ガスとパートナーシップを結び、フォロフライの商用EVで使用した電池を、ビルや工場などの定置型蓄電池として再利用する取り組みを行っている。
このように創業から短期間でEVの開発や生産、事業連携を進める同社だが、創業時から一貫し重要視している取り組みがファブレスでのEVの生産だ。
小間氏は「一般的なファブレスメーカーは輸入代理店のような事業形態になることが多いが、当社では、米国のAppleや任天堂などを見本とし、顧客のニーズを考慮し企画を行い機能開発を実施し、EVの生産は中国の自動車メーカーに委託している。ベースの車両は中国の自動車メーカーが量産しているガソリン車を採用しているが、その車両に対して100項目の改良を行い、日本の安全基準に準じた機能を付与し、国内のユーザーが安心して使えるようにしている。こういった取り組みによりEVの開発スピードを従来の手法と比べ2倍とし、圧倒的な開発コストの削減を図っている」とコメントした
このように企画/開発したEVを中国の自動車メーカーに生産を委託できるノウハウの構築は、小間氏が京都大学在学時に発足した「京都電気自動車プロジェクト」でスポーツEVメーカーのGLMを2010年に設立したことに端を発する。GLMは、京都府に存在した自動車メーカーのトミーカイラブランドを2010年8月に継承し、国内でスポーツEV「トミーカイラZZ」を開発し2015年1月に出荷した。
【訂正】初出時に、「トミーカイラZZ」の開発体制に誤りがありました。お詫びして訂正致します。
その後、ソフトバングやタツノコプロと共同でトミーカイラZZをベースとしたスポーツEV「GALAX ZZ」を開発し2016年3月に出荷し、同年9月には次世代EV「GLM-G4」を発表するなど、GLMを香港市場でSPAC(特別買収目的会社)上場させバイアウトするまでの10年以上の期間で、国内外で車両開発/開発受託の実績を積み重ねてきた。特に、中国でEV開発受託実績を蓄積し、複数の自動車メーカーと生産委託のネットワークを構築してきた。このネットワークを活用することで、フォロフライでは、開発/企画したEVを、中国の自動車メーカーで円滑に生産することを実現している。
現在は、日本全国の整備事業会社とのネットワークを保有する丸紅オートモーティブや三菱オートリース、芙蓉総合リースが率いる芙蓉リースグループとの提携を検討しており、これにより全国でフォロフライのEVの整備体制を構築する。さらに、茨城県つくば市にある丸紅グループの倉庫から全国へ補修部品を供給する体制も構築中だという。
今後は、自動車メーカー機能だけでなく社会インフラ事業会社となることも目指し、EVの充電を効率化するシステムや充電した電力を無駄なく使える新たな蓄電システム、EV用バッテリーの使用状態を可視化するフリートマネジメントシステム、バッテリー交換システムの開発を進めていく。
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