ほぼ植物含有プラから成る車体を開発、車体上部でCO2排出量を93%削減:サステナブル設計
トヨタ車体は、ハンドルや金物などを除く車体全体で、スギ間伐材とベースプラスチックを組み合わせた射出材料「TABWD」を採用した小型のバッテリー式電気自動車「PLANT COM」の開発を進めている。
トヨタ車体は、「人とくるまのテクノロジー展 2023 横浜」(2023年5月24〜26日、パシフィコ横浜)に出展し、ハンドルや金物などを除く車体全体で、スギ間伐材とベースプラスチックを組み合わせた射出材料「TABWD(タブウッド)」を採用した小型のバッテリー式電気自動車(BEV)「PLANT COM(プラントコム)」の「もくまる」と「りょくまる」を披露した。
インパネでは60%のCO2排出量を削減
PLANT COMは、同社の小型BEV「COMS(コムス)」の環境配慮バージョンで、開発中の製品だ。車体の上部にバイオプラスチックを活用した「TABWD-BIO(バイオ)」のオール植物由来グレードを採用し、車体の下部にはTABWD-BIOの汎用・耐衝撃グレードを導入している。ダッシュボート(インパネ)にはリサイクル材を用いた「TABWD-R」のリサイクル材活用グレードを使用した。さらに、各TABWDと顔料を混ぜて色を付与することで塗装を不要としている。
これにより、ポリプロピレン(PP)を主原料とした同重量の既存部品と比べ、車体の上部では93%、下部では19%、インパネでは60%のCO2排出量を削減している。一方、PPを主原料とした既存部品と比べると強度などが少し劣るため、衝突安全性の向上を目的に改良を進めているという。
ブースの担当者は「今回のブースは『森』をテーマとしており、スギの匂いを感じられるPLANT COMは木をイメージしている。PLANT COMを出展した目的は外観に関する意見を集めるためだ。PLANT COMは、TABWDを車体の外装部品に使用しているため、細かくなったスギ間伐材の外皮が表面に浮き出てしまう。そこで、PLANT COMの外観や改良点について、メタリック感がありムラなく塗装された自動車に慣れている来場者から意見を集めている」と話す。
もくまるとりょくまるの大きな違いは色と用途の違いだ。もくまるは、茶色と白でデザインされており、プライベート用で、COMSシリーズの「P・COM」の構造を踏襲し、トランクが付いている。りょくまるは、緑と白でデザインされており、ビジネス用で、COMSシリーズの「B・COM」の構造を踏襲し、荷台を備えている。いずれも販売日は未定だという。
TABWDの概要
TABWDは、森の循環と自動車部品の循環をつないで、カーボンニュートラルに貢献することを目指して開発された製品で、スギの間伐材を粉砕して得られた木の繊維とベースプラスチックを組み合わせて作られた射出材料だ。同社では利用者が通常の利用で目にしない車体内部の部品などを対象に2012年からTABWDの採用を開始した。
また、TABWDの技術をベースに開発された新素材「TRANSWOOD(トランスウッド)」は、hide kasuga 1896が運営する環境調和型ブランド「hide k(ヒデケー)1896」の隈研吾氏デザインの食器に採用された。この食器は2023年4月26日より三越伊勢丹オンラインストアにて販売されているだけでなく、東京都内の日本橋三越本店で同年5月10〜16日に販売された。
TRANSWOODは、プライムポリマーが製造販売するマスバランス方式の樹脂(PPあるいはポリエチレン)製品「Prasus(プラサス)」と間伐材を配合し、トヨタ車体「TABWD」の技術をベースに開発された。
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