車載バッテリーの800V化に対応、TIがEV向け中核に車載半導体事業を拡大:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
日本TIがEV向けを中心とする車載半導体事業戦略について説明。トラクションインバーター、BMS(バッテリー管理システム)、車載充電器を中心に半導体搭載数が大幅に増加する中で、売上高に占める車載分野の比率を高めていきたい考えだ。
1つの製品を複数の自社工場で生産、供給の継続性とBCPを実現
日本TI 社長のサミュエル・ヴィーカリ(Samuel Vicari)氏は、製品ラインアップの拡充に加え、日本国内の車載分野における営業活動の拡大や、自社Webサイトを活用した設計課題解決支援の取り組み、国内の会津工場(福島県会津若松市)と美浦工場(茨城県美浦村)を含めたグローバルで展開する15の製造拠点に基づく供給体制について説明した。
現在、日本国内で車載分野における営業活動ではティア1サプライヤーへの直販がメインになっている。また、コロナ禍で起きた半導体不足に対応できるように自動車メーカーとの間でも調整を行うためのチャネルができている。拡充した製品を用いて、顧客企業のエンジニアが設計を検討する際に役立つのが自社Webサイトの「TI.com」だ。技術資料やシミュレーションツールなどの設計リソースを活用できる。車載分野では、日本語で対応可能なサポートチームの人員拡充も進めている。
製品供給体制の関連では、米国内で複数の300mmウエハーの製造ラインの建設が進んでいる。既にテキサス州リチャードソンのラインが稼働し、2025年にはテキサス州シャーマン、2026年にはユタ州リーハイのラインが稼働を始める予定だ。これらの300mmウエハーラインによって、車載分野で今後10〜15年の長期供給が求められるであろう45〜130nmプロセスのアナログICと組み込みプロセッシング製品を安定的に供給していく構えだ。
ヴィーカリ氏は「TIでは1つの製品を複数の自社工場で生産できる体制にして、供給の継続性とBCP(事業継続計画)を実現していく方針だ。さらに、国内に生産拠点があることで、日本の自動車業界の顧客に向けたサプライチェーンの継続性を確保できる点もTIの価値になるだろう」と述べている。
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