EtherCATなど3つの通信機能を統合した32ビット新型マイコンを発表:組み込み開発ニュース
日本テキサス・インスツルメンツは、32ビットマイコンの最新版「C2000 F2838x」を発表した。EtherCAT、Ethernet、CAN FDといった通信機能を1つに統合し、ACサーボドライブや産業システムなどへの実装に対応する。
日本テキサス・インスツルメンツは2019年6月20日、32ビットマイコン「C2000」シリーズの最新版「F2838x」を発表した。EtherCAT、Ethernet、CAN FD(Controller Area Network with Flexible Data Rate)などの通信機能を1つに統合し、ACサーボドライブや産業システムなどへの実装に対応する。
F2838xに新しく搭載した「Arm Cortex-M4」ベースのコネクティビティマネジャーは、3種類の産業用通信プロトコルに対応。8つの受信チャンネルを持つ高速シリアルインタフェースを内蔵し、最小ピン数で最大200Mbpsのチップ間通信が可能だ。
また、リアルタイム制御性能と柔軟性を強化。32ビットCPU「C28x」を実装し、64ビット浮動小数点ユニットと高速な整数除算ハードウェアを搭載した。使用できるチャンネル数を従来の2倍に増やし、外付け部品数を最小限に抑えつつ、最短のレイテンシと最大限の制御ループ精度を確保する。
現在、「TMS320F28388D」の量産開始前サンプルを337BGAパッケージで販売中で、参考単価は1000個受注時で14.00ドル(約1500円)から。「TMDSCNCD28388D」開発キットも249ドル(約2万7000円)で販売している。さらに、モーター制御とデジタル電源向けのソフトウェア開発キットを同月末までにリリース予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- いまさら聞けない EtherCAT入門
産業用オープンネットワーク「EtherCAT(イーサキャット)」をご存じだろうか。工場などの産業用オートメーションにおいて、フィールドネットワークのオープン化が進む中、なぜEtherCATの存在感が増しているのか。誕生背景やメカニズム、活用シーンなどを詳しく解説し、その秘密に迫る。 - なぜ工場でネットワークを考えないといけないのか
インダストリー4.0や工場向けIoTなどに注目が集まっていますが、そもそも工場内のネットワーク環境は、どのように構築すべきなのでしょうか。本連載では、産業用イーサネットの導入に当たり、その基礎から設備設計の留意点などを含めて解説していきます。 - 次世代の車載ネットワーク「CAN FD」とは
セキュリティ対応や自動運転などの車両の高機能化に伴い、より高速な車載ネットワークが求められている。本稿では次世代の車載ネットワークの1つとして考えられているCAN FD導入の背景やプロトコルの概要ついて紹介する。 - トヨタがフィールドネットワーク3強からEtherCATを選んだ2つの理由
EtherCATの推進団体であるEtherCAT Technology Groupが主催する「第10回ETG日本メンバミーティング」で、トヨタ自動車 先進技術開発カンパニー 工程改善部長の大倉守彦氏が「トヨタのEtherCAT採用における期待」と題する特別講演を行った。 - 「OPC UA」とは何か
スマート工場化や産業用IoTなどの流れの中で大きな注目を集めるようになった通信規格が「OPC UA」です。「OPC UA」はなぜ、産業用IoTに最適な通信規格だとされているのでしょうか。本連載では「OPC UA」の最新技術動向についてお伝えする。第1回である今回は、あらためて「OPC UA」の概要と位置付けを紹介する。 - EtherCATのギガビット規格、従来規格との組み合わせでも5倍高速化が可能
EtherCAT Technology Group(ETG)は2019年7月2日、第13回となる日本メンバーミーティングを開催し、産業用オープンネットワークである「EtherCAT」の最新技術動向などを紹介した。