サイバートラストが「AlmaLinux OS」をサポート、「MIRACLE LINUX」はどうなる?:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
サイバートラストは、CentOS後継として注目されるLinux OS「AlmaLinux OS」の開発コミュニティーに参画するとともに、AlmaLinux OSの展開を主導してきた米国CloudLinuxとの協業を発表。2023年6月1日から国内向けAlmaLinux OSのサポートサービスの提供を始める。
AlmaLinux OSのサポートサービスは最大70%割引のキャンペーンを実施
CloudLinuxとの協業は、サイバートラストがCentOS後継のRHELクローンとしてAlmaLinux OSを国内市場で展開して行くための端緒となる。2023年6月1日から受付を開始するAlmaLinux OSのサポートサービスでは、16年継続の専用リポジトリや日本語サポートの提供、問い合わせ数無制限などを特徴とする「AlmaLinux Standard サポート(仮称)」を標準プランとして、CloudLinuxのソリューションを活用してOS無停止でカーネルアップデートを可能にする「AlmaLinux ライブパッチサービス(仮称)」、ミッションクリティカルシステムなどで求められる暗号モジュールの仕様「FIPS140-3」に対応する「AlmaLinux FIPS140-3 対応サービス(仮称)」を提供する方針だ。
これらAlmaLinux OSのサポートサービスは2023年6月1日〜9月30日までの申し込み分に対して、AlmaLinuxのリリースを記念した割引キャンペーンを行う。割引率は、既にサイバートラストのLinuxサポートに加入している場合は70%、MIRACLE LINUXの顧客(無償ダウンロードユーザー含む)は50%、その他の顧客は20%ととなっている。
サイバートラスト 代表取締役社長の眞柄泰利氏は「The AlmaLinux OS Foundationへの参画とAlmaLinux OSの提供により、顧客がLinuxに求める“安心安全、長期、迅速”という要望にさらに応えられる体制を整えていく。まずは国内市場に向けて約130社のパートナーとともに展開を開始し、今後は韓国や台湾などアジア市場への展開も広げていく」と語る。同社は2022〜2024年度の中期経営計画で売上高100億円、営業利益20億円を目標としているが、今回のAlmaLinux OSのサポートサービス開始により、2023年6月〜2025年3月の累計で売上高10億円を積み増す考えだ。
Linux OS関連製品/サービスは3つのカテゴリーで展開
なお、今後のサイバートラストにおけるLinux OS関連製品/サービスの展開では、WebサーバなどエンタープライズIT向けはAlmaLinux OSが中核になっていくとみられる。MIRACLE LINUXについては、これまでも高い採用実績を誇ってきた産業用PC向けを中心にAlmaLinux OSのFIPS140-3などセキュリテイ関連の対応を取り込んで独自に進化させていくことになる見込み。これらに、組み込み機器やIoT(モノのインターネット)機器向けに展開している「EMLinux」が加わり、3つのカテゴリーで展開して行くことになりそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 組み込み機器の進化の鍵は「クラウドネイティブ」にあり
組み込み機器のエンジニアからは“対岸の火事”に見えていた「クラウドネイティブ」だが、自動車や産業機器の分野で積極的な取り込みが図られるなどその影響は無視できなくなっている。 - 産業用PCの“CentOS難民”を救え、サイバートラストとコンテックが協業
サイバートラストとコンテックは、コンテックのFA向けコンピュータ「VPC-5000シリーズ」において、サイバートラストが提供するRHEL(Red Hat Enterprise Linux)クローンのLinux「MIRACLE LINUX 8.4」をプリインストールした新製品を開発したと発表した。同年4月中旬から受注を開始し、順次出荷する予定。 - サイバートラストの10年サポート組み込みLinux「EMLinux」がx86プロセッサに対応
サイバートラストは、組み込み機器やIoT機器向けのLinux「EMLinux」について、x86アーキテクチャ(以下、x86)のプロセッサに対応すると発表した。EMLinuxは、10年間の長期サポートが最大の特徴で、これまではArmアーキテクチャのプロセッサのみをサポートしていたが、顧客の強い要望に合わせてx86への対応を決めた。 - オムロンとの協業を深化させるレッドハット、今後の成長は“エッジ”にあり
レッドハットが2023年度の事業戦略を説明。同社は中長期の成長に向けて産業機器や車載機器などのエッジにおけるビジネスの基盤構築に注力しているが、その代表的なパートナーになっているのがオムロンだ。 - レッドハットがエッジ市場に本格参入、「Red Hat Device Edge」を展開
エンタープライズ向けLinuxディストリビューション大手のレッドハット(Red Hat)が、エッジコンピューティング市場に本格参入する。「KubeCon+CloudNativeCon North America 2022」において、産業機器向けにコンテナアプリケーションを柔軟にデプロイするソリューション「Red Hat Device Edge」を発表したのだ。 - あらゆるLinuxプラットフォームに対応したセキュリティ構成サービスを発表
MontaVista Softwareは、あらゆるLinuxプラットフォームに対応したセキュリティ構成サービス「MVSecure」を発表した。調査、設計、実装、サポートの4ステップを基本として構成する。