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ルネサスがSiCデバイスを量産「EV向けパワー半導体のシェアを大きく伸ばす」:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは、高崎工場に次世代パワー半導体として知られるSiCデバイスの生産ラインを導入し2025年から稼働を始める計画だ。
2023年にはデザインインの50%をウィニングコンボに
ルネサスは2022年度(2022年12月期)に過去最高の売上高と営業利益を達成するなど業績は好調だ。2023年度以降も同社が事業対象とする組み込み機器向け半導体市場を上回る成長を維持し、2030年度に売上高200億米ドル以上などとする事業目標の達成に向けて展開を加速する方針である。
好業績をけん引しているのが、高シェアを誇るマイコンと、企業買収でラインアップを拡充しているアナログICやセンサーの組み合わせで顧客の製品の早期開発につなげるソリューション「ウィニング・コンビネーション(ウィニングコンボ)」だ。ウィニングコンボのラインアップは2023年には2019年比で5倍の500に達する見通しで、このうち35%が製品をフルシステムで開発できるものになる。さらに、将来的に受注高や売上高に反映されるデザインインについても、2023年には50%をウィニングコンボベースにするべく提案を強化している。
この他、コロナ禍で課題となった半導体不足に対応すべく保有在庫を積み増す方針を打ち出した。これまでの100日分としていた在庫目標を120日分に変更する。ただし、パッケージ済みの完成品で在庫するのはなく、後工程に入る前の仕掛品であるダイバンクを増やすとともに、汎用品の受注リードタイムを短縮することで業績に影響を与えないようにする方針だ。
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