ルネサスがSiCデバイスを量産「EV向けパワー半導体のシェアを大きく伸ばす」:組み込み開発ニュース(1/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは、高崎工場に次世代パワー半導体として知られるSiCデバイスの生産ラインを導入し2025年から稼働を始める計画だ。
ルネサス エレクトロニクスは2023年5月19日、オンラインで会見を開き、同社の概況や事業方針などについて説明した。EV(電気自動車)のインバーターなどに用いられるパワー半導体事業を強化するために、高崎工場(群馬県高崎市)に次世代パワー半導体として知られるSiC(シリコンカーバイド)デバイスの生産ラインを導入し2025年から稼働を始める計画だ。
ルネサスは2022年5月、2014年10月に閉鎖した甲府工場(山梨県甲斐市)に900億円を投資し、2024年から12インチウエハーを用いたIGBTなどのパワー半導体の生産を開始することを発表している。この12インチウエハーラインの立ち上げにより、同社のパワー半導体の生産能力は倍増する見込みだ。今回の発表により、EVを中心に一部採用や評価検討が進みつつあるSiCデバイス市場に本格的に進出することで、パワー半導体事業の強化を図っていきたい考えだ。
同社 社長兼CEOの柴田英利氏は「甲府工場の立ち上げは順調に進捗しており2024年に稼働を始めて、2025年にはフルスピードでの量産に入れるだろう。SiCデバイスの生産は2025年にスモールスタートで始めるが、今後追加投資するなどして規模を拡大できればと考えている」と語る。
甲府工場のIGBT、高崎工場のSiCデバイスとも主要顧客として想定しているのはEVのインバーターやDC-DCコンバーターなど自動車分野である。競合他社と比べて低損失であることから顧客から高い評価を得ており、2025年の量産に向けて強い引き合いがあるという。「現時点でEV向けのIGBTのシェアは10%弱と見ている。新ラインの稼働によって、IGBT、SiCデバイスともシェアを大きく伸ばしていきたい」(柴田氏)という。
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