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歩留まり改善など業務直結のAIモデルをノーコードで、AIベンチャーの新サービス製造ITニュース

AI CROSSは、ノーコードAI(人工知能)分析サービス「Deep Predictor」を2023年5月8日から提供開始すると発表した。

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 AI CROSSは2023年4月26日、ノーコードAI(人工知能)分析サービス「Deep Predictor」を同年5月8日から提供開始すると発表した。同サービスは高度な専門家が必要なAI活用のハードルを下げ、データ分析だけでなく、最適な施策とその根拠、定量的な効果などを簡単に導き出せるようにしたもの。これにより、経営層や現場担当者などがAIを活用した意思決定を容易に行えるようにする。

AI活用で難しい工程を自動化

 AI CROSSは、2015年創業のベンチャー企業で、AIでコミュニケーションの高度化を目指す「Smart AI Engagement事業」を展開。SMS送信サービスやAIチャットbotサービスなどを展開してきたが、意思決定や業務の改善などに活用できるサービスとして新たにリリースしたのがDeep Predictorである。

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AI CROSS メッセージングイノベーションユニットのユニット長の上原岳士氏

 AI CROSS メッセージングイノベーションユニットのユニット長でデータサイエンティストの上原岳士氏は「AI人材の不足が指摘される中、個々の業務でAI人材を確保するのは難しい。その中で、どの業務にAIを適用すればよいのかという点の判断や、データの整備不足、AIモデル構築のためのコーディングなどで苦労することが多いと聞く。これらを自動化し、支援できるツールを提供することで、より多くの業務でAIを使えるようにする」と新サービス開発の趣旨について述べている。

 Deep Predictorは、従来データサイエンティストが行っていたAI分析を、直感的なユーザーインタフェースで誰でも簡単に実行できるようにすることを目指したものだ。さまざまな選択をしていくだけで最適なAIアルゴリズムを自動で選択でき、最適なAIモデルを構築できる。特に、AI導入プロジェクトの内、コーディングやデータサイエンスが必要な「モデル構築/評価/理解/予測」から「施策決定/実行」などの工程を自動化できる点が特徴だ。さらに、要件定義から業務システムへの統合もオプションサービスの「AI支援活用サービス」で支援する。どのようにAIを適用するかを判断し、それを業務で活用できるようにするまでの一連の流れを一貫してカバーする。

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Deep Predictorの概要図[クリックで拡大] 出所:AI CROSS

 高精度な予測分析や最適な施策、その効果や根拠を得ることで、マーケティングや営業、顧客サポート、生産管理など多くの分野で活用できる。さらに、独自のAIシミュレーションにより、どの施策をいつ実行し、どのような効果が期待できるかを根拠とともに予測できる。

 価格は、導入費用100万円、年額費用96万円〜と他のAIソリューションに比べ低額に抑えた。上原氏は「AIのアルゴリズムにはさまざまなものがあるが、必要なものだけを抽出し、誰でも簡単に使いやすいツールを目指した。チューニングなど専門家が使うような機能は制限しているが、一般的なユーザーが使うことを想定し、そのおかげで価格も抑えることができている」と述べている。

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Deep Predictorの強み[クリックで拡大] 出所:AI CROSS

 製造業向けのユースケースとしては、製造工程の歩留まり改善などでの活用を想定する。過去の製造実績データとして、歩留まりのデータや材料の投入量、設備の設定値などを学習させ、不純物が増える条件を予測するAIモデルを構築するようなケースだ。

 添加物の投入量や設備の設定値を再検討し、制約条件を守った上で生産計画を改善できる。また、改善策の経済的な効果やその根拠を報告でき、現場や経営層がすぐに実行に移すことができる。例えば、不純物についての評価数値が1改善するごとに10万円の利益押上げ効果があるという相関関係があり、生産計画変更のコストが年間100万円かかる場合、どういう条件でどういうタイミングで工程を変更すれば全体としてのプラス効果が大きいかを、具体的なアクションを組み合わせて示すことができる。

 上原氏は「現実的にはこのようにきれいな形で示せるケースは少なく、ベテラン技術者へのヒアリングを重視している。技術者の持つ経験や勘をAIに取り込み、関係の高い事象やデータに当たりをつけ、求める結果にいち早く近づけるようにする。AIモデルを手軽に構築できるようになることで、打ち手の効果をより早く推定でき、正しい判断を下せるようになる」と価値について語っている。

製造業で歩留まり改善でDeep Predictorを使う場合の想定条件(左)と活用効果のイメージ(右)[クリックで拡大] 出所:AI CROSS

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