「自動化とデジタル化の黄金時代」とシーメンス、半固体電池メーカーとの協業も:ハノーバーメッセ2023(2/2 ページ)
「今まさに、自動化とデジタル化の黄金時代が到来している」――。ドイツのSiemens(シーメンス)は世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」(2023年4月17〜21日)で最新の自動化、デジタル化技術を紹介し、現在の社会課題を背景に、産業界での導入が加速していると強調した。
半固体電池ギガファクトリーに製品/技術を導入
こうしたバッテリー製造業界でのシーメンスの戦略の一つとして、同社はこの日、ノルウェーのバッテリー製造スタートアップFREYR Battery(以下、FREYR)との協業を発表している。記者会見ではFREYRのCEO、Tom Einar Jensen(トム・アイナー・ジェンセン)氏が登壇し、同社の取り組みや協業の内容について語った。
FREYRは2018年創業の新興企業。米国の24M Technologiesからライセンス供与された半固体リチウムイオンバッテリー技術に基づいたバッテリー製造技術を有していて、2025年には年間50GWh、2030年には年間200GWh以上の電池を生産する見通しだという。ジェンセン氏は、「従来の電池では17〜18ある生産工程が、24Mのプロセスであれば半分になる。全体がより小さくコンパクトになり、必要な投資額が小さくなるという利点がある。さらに、工程を自動化することで、一人当たりでより多くのバッテリーを生産可能になる。これがシーメンスと協業する理由だ」と述べていた。
また、急速に発展する市場の需要を背景に、同社はノルウェーと米国でバッテリーのギガファクトリー建設を計画しているという。今回発表した協業では、このギガファクトリーについて、シーメンスが優先サプライヤーとなり、同社の「Industrial Operations X」製品ポートフォリオを導入することを予定している。
具体的には、両社は生産設計、計画、シミュレーション、製品設計およびシミュレーションから生産工程全体のオートメーションまで、バッテリーの設計と製造の全工程で提携。シーメンスは、製品ライフサイクル管理(PLM)、製造実行システム(MES)、産業用エッジコンピューティングおよびIT/OT接続のためのツールなどを提供し、FREYRの生産規模拡大、工場とエネルギーの効率最大化を実現するとしている。
ジェンセン氏は、「われわれは、シーメンスが提供するあらゆるサービスを利用し、スピード、持続可能性、生産能力の可能性を広げたいと考えている。また、シーメンスは能力、知識、ソフトウェアだけでなく、顧客の視点も提供してくれるだろう」と説明。シーメンスおよび他パートナーとの連携によって、バッテリーの製造プロセスや性能を改善し「最大で性能を3倍向上し、開発から顧客に認証されるまでの時間を90%以上短縮したい」と期待を示していた。
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