アマゾンの独自LPWA向けにSoCと開発キットを提供:組み込み開発ニュース
Nordic Semiconductorは、アマゾン(Amazon.com)の独自LPWA(低消費電力広帯域)ネットワーク技術「Amazon Sidewalk」向けにBluetooth Low Energy SoC「nRF52840」と開発キット「nRF Connect SDK」を提供する。
Nordic Semiconductorは2023年3月28日(現地時間)、アマゾン(Amazon.com)の独自LPWA(低消費電力広帯域)ネットワーク技術「Amazon Sidewalk」向けにBluetooth Low Energy(BLE) SoC「nRF52840」と開発キット「nRF Connect SDK」を提供すると発表した。既に実績のあるこれらの製品を活用することで、Amazon Sidewalk対応デバイスを迅速に開発できる。
Amazon Sidewalkは、長距離通信に対応する、低消費電力のワイヤレスIoT(モノのインターネット)ネットワークだ。家庭用に2.4GHz BLEを使用する短距離タイプと、産業、科学、医療(ISM)用に屋外向けのサブGHz周波数帯を利用する長距離タイプがある。ゲートウェイとして、「Amazon Echo」「Amazon Ring」などのスマートホームデバイスを用いる。
短距離では、Amazon Sidewalkを利用することで、BLEデバイスからクラウドへの接続が容易になる。家庭やビル内にあるデバイスに適しており、Nordic Semiconductorの製品では、nRF52840のみを使用すれば対応できる。
長距離タイプのAmazon Sidewalkでは、アプリケーションプロセッサとしてnRF52840を利用。デバイスのネットワーク登録や認証のためのBLE接続、ファームウェアの無線アップデートが可能になる。屋外でのスマート照明、環境センサー、電気や水道のメーター、アセットトラッカーなどの用途を見込む。
Amazon Sidewalkの公開により、開発者やデバイスメーカーは、インターネットへの接続方法を気にせず製品開発に専念できる。既に導入済みの多くのデバイスにも、Amazon Sidewalkを搭載することで、位置の追跡や紛失物の探索などが可能となる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- アマゾンがLPWAを独自開発、LoRaWANでもSigfoxでも802.11ahでもない
アマゾンは、独自のLPWA(低消費電力広帯域)ネットワーク(以下、LPWA)を開発中であることを明らかにした。「Sidewalk」と呼ぶこのLPWAは、ISM帯域である900MHz帯を用いており、km単位の通信距離と、電池駆動のIoTデバイスを年単位で動作させられるという。 - いまさら聞けないLPWAの選び方【2019年春版】
製造業をはじめIoT活用への取り組みが進む中で、IoTに最適な通信技術であるLPWA(省電力広域ネットワーク)に注目が集まっている。一口でLPWAと言っても、さまざま通信規格があるためどれを選んでいいか分かりにくい。本稿では、LPWAを中心にIoT向け通信の選び方について解説する。 - 百花繚乱のLPWAネットワーク、製造業は使いこなせるのか
IoTをつなげるのに最適な、低消費電力かつ広域で利用できるLPWAネットワーク。無線局免許が必要なライセンス系、不要なアンライセンス系を含めて多くのサービスがあり、百花繚乱の様相を呈している。このLPWAネットワークを、製造業は使いこなせるのだろうか。 - IoTデバイスに不可欠な「アンテナ」「無線モジュール」「SIMカード」の役割
IoTデバイスの基本的な構成から、必要な認証、デバイス選定までを前後編で解説する本連載。前編では、基本的な構成の中でも、通信に関する機能を持つ「アンテナ」「無線モジュール」「SIMカード」について詳しく解説する。 - IoTデバイスにも必須の「技適」とは何か、どんなデバイスを選ぶべきか
IoTデバイスの基本的な構成から、必要な認証、デバイス選定までを前後編で解説する本連載。後編では、IoTデバイスを日本国内で使うために必要な認証いわゆる“技適”についての解説を行った上で、目的に応じてどのようなデバイスを選定していくべきかについて紹介する。 - スマートホームのゲームチェンジャー「Matter」とは何か
スマートホームの到来を、本当の意味で加速すると期待されている「Matter」。Matterはなぜスマートホームのゲームチェンジャーになり得るのかを解説する。