ジャガー・ランドローバーは2023年4月19日(現地時間)、今後5年間で150億ポンド(約2兆5000億円)を投資すると発表した。電動化だけでなく、自動運転技術やAI(人工知能)、デジタルサービスやソフトウェアの開発にも力を入れ、社内のソフトウェア開発能力を強化する。
英国内での投資を強化することも表明した。ヘイルウッド工場をEV(電気自動車)専用の生産拠点に改修する他、エンジンマニュファクチャリングセンターはエレクトリック・プロパルション・マニュファクチャリング・センターに名称を変更し、電動ユニットやバッテリーパックといったEV部品の生産も手掛ける計画だ。プレス部品を生産するキャッスルブロムウィッチ工場は、将来的に生産設備を拡張してEVのボディー製造を担う。
ジャガー・ランドローバーは2039年までに排出ガスを実質ゼロにする目標だ。これに向けて主力のミッドサイズSUVではEV用のエレクトリファイド・モジュラー・アーキテクチャ(EMA:Electrified Modular Architecture)を採用してEVのラインアップを展開する。エレクトリファイド・モジュラー・アーキテクチャ採用モデルの第1弾は2025年に発売する予定で、EV専用の生産拠点に変更するヘイルウッド工場で生産する。
一方で、エンジン車やハイブリッド車(HEV)向けのモジュラー・ロンギチューディナル・アーキテクチャ(MLA:Modular Longitudinal Architecture)も維持する。市場ごとに異なる電動化の速度に柔軟に対応していく。
「レンジローバー」「ディフェンダー」「ディスカバリー」「ジャガー」の独自の特徴を強化しながら、ビジョンの実現を加速させる。英国ブランドとしての独自性を高め、エモーショナルで魅力的な体験を提供するという。2023年後半からは、新型レンジローバーのEVモデルの予約受注を開始する。
ジャガーはブランド戦略強化の一環でEV3車種を展開する。最初のモデルは4ドアのグランドツーリングカーのEVで、最大700kmの走行距離を確保する。価格設定は10万ポンド(約1600万円)以上を予定している。新プラットフォーム「JEA」を採用して開発する。2023年後半に詳細を発表して2025年から納車される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「脱炭素は単一の技術では実現できない」、日米欧の自工会が方向性を再確認
日本自動車工業会は、2050年までに道路交通におけるカーボンニュートラルを達成するための方向性を各国の自動車工業会と再確認した。 - 上海モーターショー開幕、日系各社が2024年発売のEVを世界初公開
第20回上海国際自動車工業展覧会が開幕した。日系自動車メーカー各社がEVのプロトタイプや市販予定車などを披露している。 - ホンダとヤマト運輸が軽商用EVで集配業務の検証、冷蔵冷凍品も対応
ホンダとヤマト運輸は、集配業務における軽商用EVの実用性の検証を実施する。 - EVの走行距離倍増、PHEVはモーター走行200km……トヨタ新体制が方針
トヨタ自動車は新体制での経営方針を発表した。社長に就任した佐藤恒治氏、副社長の中嶋裕樹氏と宮崎洋一氏が出席し、電動化の計画や「モビリティカンパニー」を目指す変革などについて説明した。 - 今の使い方でEVに乗り換えて走行距離は足りる? DeNAがシミュレーション技術
DeNAは、現在のクルマの使い方を基にEV(電気自動車)の実際の走行距離や導入効果を予測するシミュレーション「FACTEV(ファクティブ)」を開発した。 - 三菱自動車が今後5年間で電動車9車種、電動化関連の投資も拡大
三菱自動車は2025年度までの3カ年の中期経営計画「Challenge 2025」を発表した。