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日米では回復傾向も中国は減産、日系乗用車メーカーの生産実績自動車メーカー生産動向(1/2 ページ)

2023年1月の自動車生産は、日系乗用車メーカー8社合計の世界生産台数が3カ月連続で減少した。中国生産が春節の影響により前年1月に比べて稼働日が減ったことで、大幅な減産を余儀なくされたのが最大の要因だ。

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 2023年1月の自動車生産は、日系乗用車メーカー8社合計の世界生産台数が3カ月連続で減少した。中国生産が春節の影響により前年1月に比べて稼働日が減ったことで、大幅な減産を余儀なくされたのが最大の要因だ。中国と並ぶ主力市場の北米や国内生産は、前年の半導体不足などによる稼働調整の反動もあり回復傾向を示した。ただ、依然として車載向け半導体不足の状況は続いており、2月以降も自動車生産の回復が続くかは不透明な状況だ。

 日系乗用車メーカー8社が発表した2023年1月の世界生産台数は、8社合計で前年同月比2.8%減の186万3557台と3カ月連続のマイナスだった。トヨタ自動車、スズキ、ダイハツ工業を除く5社が前年実績を下回った。中国生産のウエートが高い日産自動車とホンダの落ち込みが目立った他、半導体不足の影響が顕著に出たSUBARU(スバル)も大幅マイナスとなった。

2023年1月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 211,572 477,518 141,692 96,943 689,090
30.1 1.4 6.5 ▲ 25.9 8.8
スズキ 82,115 213,230 - - 295,345
58.4 13.2 - - 22.9
ホンダ 47,193 233,564 106,673 71,803 280,757
▲ 7.6 ▲ 24.1 7.6 ▲ 54.2 ▲ 21.7
日産 44,431 179,805 91,294 32,105 224,236
5.9 ▲ 30.2 28.8 ▲ 71.7 ▲ 25.1
ダイハツ 65,976 74,864 - - 140,840
1.6 18.4 - - 9.9
マツダ 65,491 32,659 23,346 2,683 98,150
▲ 7.2 ▲ 3.6 72.9 ▲ 83.1 ▲ 6.0
三菱自 38,674 46,214 - 1,530 84,888
15.5 ▲ 18.7 - ▲ 60.9 ▲ 6.0
スバル 30,483 19,768 19,768 - 50,251
▲ 24.0 ▲ 19.5 ▲ 19.5 - ▲ 22.3
合計 585,935 1,277,622 382,773 205,064 1,863,557
13.4 ▲ 8.7 12.2 ▲ 53.1 ▲ 2.8
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

 中国の影響により、8社合計の海外生産も前年同月比8.7%減の127万7622台と低迷し、3カ月連続で減少した。中国で生産する5社の合計は、同53.1%減と半減し、4カ月連続のマイナス。一方、北米は同12.2%増と3カ月ぶりに前年実績を上回った。

 国内生産は、前年同月比13.4%増の58万5935台で、2カ月ぶりのプラス。これは前年がオミクロン株の急速な感染拡大により稼働停止を実施した反動で、コロナ禍前の2020年1月との比較では2割減という水準にとどまっている。

→「自動車メーカー生産動向」のバックナンバーはこちら

トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタ自動車の1月のグローバル生産台数は、前年同月比8.8%増の68万9090台と2カ月ぶりに前年実績を上回った。このうち国内生産は、同30.1%増の21万1572台と3カ月ぶりのプラスとなった。これは前年1月が、半導体不足や仕入れ先の感染拡大により相次ぐ稼働停止を余儀なくされた反動が表れた。また、国内市場での納期短縮を目的に、グローバルの部品供給網の中で、国内向け部品の供給を意図的に増やしたことも大幅なプラスにつながった。

 海外生産も、前年同月比1.4%増の47万7518台とプラスを確保し、2カ月ぶりに前年実績を上回った。地域別では、中国が他社同様に春節による稼働日の減少で同25.9%減と3カ月連続のマイナス。2桁パーセント減だが、中国で生産する日系5社では最小の減少幅にとどめた。中国以外のアジアは、フィリピン、マレーシア、インドが大きく伸長したものの、中国の減産をカバーしきれず、アジアトータルでは同5.3%減にとどまった。北米は前年1月の反動で同6.5%増と2カ月ぶりに増加。欧州も同15.4%増、中南米も同1.1%増とプラスを確保した。

スズキ

 好調なのがスズキだ。1月のグローバル生産は、前年同月比22.9%増の29万5345台と2カ月ぶりに増加。コロナ禍前の2020年1月との比較では1.1%下回ったものの、8社のグローバル生産ではトヨタに次ぐ2位となった。このうち海外生産は同13.2%増の21万3230台と、2カ月ぶりのプラスだった。中でも主要拠点のインドが好調で、同15.2%増と2カ月ぶりにプラスへ転じるとともに、単月のインド生産として全ての月を通じて過去最高を更新した。インド以外の海外生産も同0.9%増と2カ月ぶりに増加した。

 国内生産も大きく伸長し、前年同月比58.4%増の8万2115台と9カ月連続のプラス。8社の国内生産で最大の伸び率となった。前年が半導体不足による相次ぐ稼働停止で実績が低かったこともあり、増加傾向が続いている。2020年1月との比較でも3.8%増と回復している様子が伺える。

ホンダ

 スズキに次ぐ3位となったホンダの1月のグローバル生産台数は、前年同月比21.7%減の28万757台で3カ月連続のマイナスだった。海外生産が同24.1%減の23万3564台と大きく落ち込み、3カ月連続で減少した。これは最大市場の中国が同54.2%減と半減したことが要因。半導体不足や春節による稼働日減少などの影響により、5カ月連続のマイナスとなった。その結果、アジアトータルでも同40.5%減と5カ月連続で前年実績を下回った。一方、北米は前年のオミクロン株感染拡大の反動により、同7.6%増と3カ月ぶりにプラスへ転じた。

 国内生産も低迷している。前年同月比7.6%減の4万7193台と2カ月連続で前年実績を下回った。半導体不足の影響が続いており、1月は埼玉製作所の稼働率を当初計画比8割に調整した。これにより「シビック」と「ステップワゴン」を減産。シビックは慢性的な半導体不足により納期が1年以上に伸びているため、3月6日に国内で販売する全モデルの受注を停止した。なお、「フィット」や「ヴェゼル」などを生産する鈴鹿製作所は通常通りの稼働とした。

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