京大にカーボンニュートラル向けの先進共同研究部門を開設:脱炭素
京都大学と大阪ガスは、2050年カーボンニュートラルに向けたメタネーション技術などの基礎研究を行う産学連携共同研究の拠点として、産学共同研究部門「カーボンニュートラルに向けた先進共同研究部門」を京都大学桂キャンパス内に同年4月に設置する。
京都大学と大阪ガスは2023年3月15日、2050年カーボンニュートラルに向けたメタネーション技術などの基礎研究を行う産学連携共同研究の拠点として、産学共同研究部門「カーボンニュートラルに向けた先進共同研究部門」を京都大学桂キャンパス内に同年4月に設置すると発表した。京都大学と大阪ガスによる産学共同研究部門の設置は今回が初だという。
両者は、2023年4月から2028年3月まで、水蒸気の電気分解で水素を製造する技術「SOEC」や固体酸化物形燃料電池「SOFC」、セルおよび板状のセルを複数積層させた構造体「セルスタック」などの耐久性と信頼性の向上を実現するための基礎研究とカーボンニュートラルに関する探索的基礎研究を行うために、今回の共同研究部門を設ける。成果が見込める場合は研究の継続を予定している。
共同研究部門は、オープンイノベーション機構との連携のもと、産官学連携本部に設置される。メンバーは、京都大学 特定教授の鈴木稔氏(大阪ガスから出向)などの教員3人でスタートして、京都大学の人間・環境学研究科や工学研究科の教員と連携し、共同で研究を推進する。研究の実施場所は、京都大学桂キャンパス内のローム記念館となる。また、若手研究者の育成につながる研究も進める。
京都大学と大阪ガスは、2021年度に「締結したカーボンニュートラルに関する組織対応型の包括的な連携に関する契約」のもと、これまで多様な活動を実施してきた。
大阪ガスは、以前から家庭用燃料電池であるエネファームの技術開発と商品化に取り組んでいる。最近は、SOFCの開発で培った技術を応用して、都市ガスの脱炭素化の有望技術と期待される高効率な革新的メタネーション「SOECメタネーション」の研究開発も進めている。
京都大学は、SOECとSOFCに利用されている固体酸化物形エネルギー変換技術の基礎研究分野で優れた業績をあげている。
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