モノづくりのインクジェット化で工程改革、コニカミノルタが進める工業用途の拡大:FAニュース(2/2 ページ)
コニカミノルタは各事業の最新の取り組みを紹介する「Konica Minolta Day」を東京都内およびオンラインで開催した。本稿では、IJコンポーネント事業に関して取り上げる。
プリント基板や次世代ディスプレイなどの製造工程の変革を目指す
インクジェットの特徴は、打ちたい時に打ちたいだけ、打ちたいところに、インクやケミカルなどを塗布、あるいは印刷できることだ。
例えばプリント基板のソルダーマスク工程では、従来方式の写真現像型をインクジェット方式に置き換えることで、仮乾燥やUV露光、現像などの工程がなくなり、大幅に簡素化できる。欧米では一部量産に入っているという。
次世代ディスプレイ製造工程においても、RGPの3色ごとに行われているパターン形成が、インクジェット方式になれば直接RGPパターンを描けるため、プロセスを大きく短縮する。「その結果、工程削減ではなく、VOC(揮発性有機化合物)、ディスプレイに使われる高価な材料ロスの大幅削減や部材ダメージの低減、薄膜塗布の均一性といったメリットをもたらす」(中嶋氏)。
その他、パッケージなどへの直接インクジェット印刷によるラベルレス化も促進する。現在、コンビニエンスストアで売られているパンやおにぎりは包装後、製品名や賞味期限が書かれたラベルを張り付けている。ラベルの印字には熱転写リボンが用いられているが、そのインクリボンの交換頻度が多く、交換の際は都度ラインを止める必要がある。コニカミノルタが開発した水性プライマーおよび専用ヘッドの組み合わせにより、さまざまな包装フィルムに直接印字できるようになり、ラベルやインクリボンなどの使用が大幅に減少する。
従来不可能だった印字基材とヘッド間の距離を保った状態でのプリントが可能なヘッドも開発している。2018年に獲得したパナソニックのMEMS技術(Micro Electro Mechanical Systems)を基にしたもので、高い直進性によって従来は数mmだった印字基材とのギャップを20mm程度まで広げても2次元コードなどの精密な印字が可能になった。ギャップを確保することで、生地や紙とヘッドが接触してラインが止まるメディアアタックを低減する。
「インクジェット技術はワークフローを大きく変革する可能性を持っている。あらゆる分野でインクジェット化を推し進めて、社会課題の解決に貢献したい」(中嶋氏)
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