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物性を起点としたモデリングについて考える1Dモデリングの勘所(17)(4/4 ページ)

「1Dモデリング」に関する連載。連載第17回は「物性を起点としたモデリング」をテーマに、まず物性について種々の視点から考察し、これを受けて物性を起点とした材料力学、熱力学、電気、感性とモデリングの関係について考える。

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電気のモデリング

 電気抵抗Rを有する物体に電気iを流すと電位差Vが生じ、これらの間には「オームの法則

式4
式4

が成り立つ。抵抗は電流が通過することによりパワー

式5
式5

を生じる。これが「ジュール熱」である。抵抗を決める物性は「電気抵抗率」と呼ばれ、

式6
式6

で定義される。Aは抵抗体の断面積、Lは長さである。図9に種々の材料の熱伝導率と電気抵抗率を示す。おおむね、電気抵抗率と熱伝導率は反比例の関係にあるが、その程度は材料領域によって異なる。

電気抵抗率
図9 電気抵抗率[クリックで拡大]

感性のモデリング

 物体は物理的性質だけでなく、感性的側面もある。いわゆる“五感”に関するもので、視覚(見た目)、聴覚(音質)、触覚(触った感じ)が代表的なものである。例えば、ある物体を手で触った状況を考えると、硬い⇔柔らかい、冷たい⇔暖かいといった感じ方をする。これには、材料の性質(物性)が関わっていると考えられる。“硬い⇔柔らかい”は材料の弾性率(E)と硬度(H)が関係しているので、

式7
式7

で表すことにする。この値が大きいと硬く感じ、小さいと柔らかく感じる。一方、“冷たい⇔暖かい”は手から物体に流れる熱量

式8
式8

で表現する。この値が大きいと人の熱が物体に奪われる量が大きいので冷たく感じ、小さいと暖かく感じる。

 上記の触覚に関する2つの式を縦軸、横軸にとって、種々の材料をプロットしたものが図10である。金属材料は硬くて冷たく、発泡体は柔らかくて暖かい、という実体に合った傾向を示している。

感性のモデリング例
図10 感性のモデリング例[クリックで拡大]


 次回は「人のモデリング」を試みる。 (次回へ続く

⇒連載バックナンバーはこちら

筆者プロフィール:

大富浩一(https://1dcae.jp/profile/

日本機械学会 設計研究会
本研究会では、“ものづくりをもっと良いものへ”を目指して、種々の活動を行っている。1Dモデリングはその活動の一つである。


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