連載
【ケース10】PDMシステムへのデータ移行はどう行うべきか?:設計現場のデータ管理を考える(10)(3/3 ページ)
連載第10回は「PDMシステムへのデータ移行作業をスムーズに行い、正しいデータを登録する方法」をテーマに、PDMシステムへのデータ移行におけるポイント、その際の留意点などについて解説する。
PDMシステムへのデータ移行“前”に行うべきこと
PDMシステムへのデータ移行を始めたAさんは、次の作業に悩まされることになりました。
最初の製番データ、例えば、製番12001に関しては問題なくチェックイン可能です。そして、PDMの構成で同一ユニットにおいて共通部品と製番ごとのカスタマイズ部品を、別々に管理するのであれば、
- 最初にチェックインしたデータをチェックアウトし、改訂を施して再度チェックインする
- 同一ファイル名で、異なるファイル名のものを同じものに付け直す
- アセンブリとパーツファイルのリンクを修正する
といった作業を行う必要があります。製番ごとに共通部品の関連性もなくファイル管理するのであれば、その作業も減りますが、これでは関連性の管理が行えるPDMの効果を発揮できません……。
PDMシステムへのデータ移行“前”に行うべきことは、次の2つに尽きます。
- 設計現場のデータ管理状況の把握(PDM担当者)
- 流用設計データの整理(各設計者)
また、PDMシステムの導入推進では、今回紹介したような留意点を踏まえ、作業時間を十分に確保した上で、データ移行を進める必要があります。
次回はPDMシステムからの最終成果物として「BOM運用」について考えます。お楽しみに! (次回へ続く)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- PDM
メカ設計者のための用語辞典。今回は「PDM」について解説する。 - 3D CAD活用で欠かせない「アセンブリ」と「データ管理」について
“脱2次元”できない現場を対象に、どのようなシーンで3D CADが活用できるのか、3次元設計環境をうまく活用することでどのような現場革新が図れるのか、そのメリットや効果を解説し、3次元の設計環境とうまく付き合っていくためのヒントを提示します。今回は、「アセンブリ」の考え方と設計アプローチ、そして、3D CAD活用で重要となるデータ管理について紹介します。 - 「SOLIDWORKS 2022」は堅実な機能強化に加え、クラウドとの接続価値を提案
ソリッドワークス・ジャパンはオンライン記者説明会を開催し、「SOLIDWORKS 2022」の製品概要および新機能を紹介した。SOLIDWORKS 2022では「Work Smarter,Work Faster,Work Together」を開発テーマに、さまざまな機能強化および新機能の追加がなされているという。 - 設計者によるPDM導入で大事なフォルダ構成検討
機械メーカーで3次元CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回は設計者のためのPDMにおける構造について説明する。 - 設計者によるPDM導入と生産管理システムの再構築
機械メーカーで3次元CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回はPDMと生産管理システムの関係やその問題について語る。 - CADやPDMの“使い勝手”を追求する
2012年6月に開催した第23回 設計・製造ソリューション展に見た業界動向を考察するシリーズ。今回は、クリエイティブマシンのブースのCADやPDMについて紹介する。