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設計者によるPDM導入と生産管理システムの再構築3D設計推進者の眼(8)(1/3 ページ)

機械メーカーで3次元CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回はPDMと生産管理システムの関係やその問題について語る。

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 今回は、PDM(Product Data Management)システムと生産管理システムについてお話しします。

 「個人で設計している」「数人で設計している」「数十人に設計している」「1つの製品を1人で設計している」「1つの製品をチームで設計している」……など3D CADによる設計環境もさまざまです。読者の皆さんは、3D CADデータの管理をどうしていますか?

 私が経験してきている装置設計では、流用設計が行われることが多いです。開発機としての仕様に基づいて設計された装置や、特定の顧客要求仕様に基づいて新規設計された装置が市場に出ると、特定の顧客や他社向けの引き合いが始まります。そして、それぞれの顧客の安全仕様や、生産技術的な要素として、個別の要求仕様が提示され、設計者はその設計対応を行います。また同一顧客よりリピート注文をいただく場合も、改善を目的とした新たな要求仕様をいただくことも少なくはありません。設計者はその新たな要求仕様に対応をすることになります。

 私が経験してきているFA(Factory Automation)や液晶装置産業において、これらの対応は、新規設計の場合もありますが、多くが流用設計となります。

 このことは「こうやればよかった! メカ設計者のためのPDM」でも触れています。この記事の公開から6年たっていますが、私は今、新たな会社でPDM立ち上げの真最中です。

PDMシステム立ち上げと異分野の知識

 「最新のモデルで、きちんと改訂もされている」と思って流用してきた3Dモデルがそうではなかったり、流用元が属人的になっていたりと、2D設計でも発生していた問題が、3D設計でも発生しています。それを解決する手段として、私はPDMシステム導入に着手しました。

 私は設計者の視点でのシステム構築を目指していますが、設計者がデータベースの知識やシステム構築の知識を持っていることはまれなことです。本来はこれらの十分な知識を持った情報システム部門の人が導入・立ち上げに参加してくれることが望ましいのですが、中小企業の場合、情報システム部門を持てない場合があります。私の場合もそうでした。なのでサーバ(ハードウェア)、データベース、PDMシステムのインストールやセットアップは、代理店の信頼できるエンジニアにお任せすることになりました。

 PDMの立ち上げまでには、データカード、ワークフローの設定、ユーザー登録、権限の設定などの設定作業をユーザー自身が行う必要があります。使いやすいGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)での作業なのであまり困ることもありませんが、機械設計者にとっては異なる業務領域です。

 「CAL(Client Access License)」「データカード」「メタデータ」「ワークフロー」「トランジッション」「トランザクション」「ボルト(Vault)」「リビジョン」「バージョン」……といったITの専門用語は私も今では当たり前のように使っていますが、これらの用語を知らない人(かつての私も)にとっては、メーカーや代理店エンジニアと当たり前のようにこれらの用語を使って会話をしなければならないのは苦痛ですよね。

 システム設定内容はドキュメントとして残りますが、これを全て理解できるわけではありません。理解が中途半端な中でシステムを運用するということは、正直不安になります。

 サーバとシステムの設定の後は、複数のサンプルデータにより、PDMシステムの評価を行います。そして既に作成済みのデータをPDMシステムにチェックイン(データをサーバに保存すること)します。そのデータをチェックアウト(データをサーバから開く)を行い、パーツの変更を行い、アセンブリを更新し、再度チェックインを行います。

 この評価作業では、設定したワークフロー(モデルの登録/編集において、どのような状態でいるのか、どのように承認されるのか、ユーザー登録においてアクセス制限をかけてみることでどのような状態となるのか、承認の際に承認依頼を承認担当者に通知する仕組み)の動作確認も行います。意図的にデータの更新を行って、更新後のデータの版管理ができているのかの評価も行います。ボルト内のフォルダを複数作って、フォルダ間のデータの連携や非連携の確認作業も必要です。データの名前の付け方や、検索に関わる属性(プロパティ)の付け方についても検討と評価が必要です。

 設計業務をしながらPDMの設定や評価を行うというのは容易ではありません。また、会社の資産となる3Dデータを管理するシステムですので、運用でトラブルが起こるような状態になってはならず、その作業も慎重になりがちです。評価後の“運用スタート”を宣言するのにも勇気が必要です。

 さて、こんなことをやっていると、「プロジェクトを上手く進めるには?」ということに興味がわいてきます。国際資格の「PMP」(Project Managemet Professional)となるとハードルは上がりますが、プロジェクトマネジメントについては学びたくなります。私自身は基礎的なことを勉強する中で「ITパスポート」を取得しました。今現在もステップアップを図りたいと思っています。

 設計者でありながら、少しだけシステムの領域に入ったことがきっかけで異分野の勉強をすることになりました。こんな経験は他の業務でも生きてきます。

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