店舗や施設の衛生管理状況を可視化する「T*Plats」、利用者への公開で集客効果も:リテールテックJAPAN 2023
日立製作所は、「リテールテックJAPAN 2023」において、店舗や施設などの衛生管理状況を可視化するサービス「T*Plats」を披露した。
日立製作所(以下、日立)は、「リテールテックJAPAN 2023」(2023年2月28日〜3月3日、東京ビッグサイト)において、店舗や施設などの衛生管理状況を可視化するサービス「T*Plats」を披露した。丸の内ビルディングと新丸の内ビルディングなどでの先行実証の後、2022年8月から事業化しており、飲食チェーンや不動産デベロッパー、自治体、教育機関、商業施設、オフィス、公共施設などへの提案を進めているところだ。
T*Platsは、さまざまなセンサー情報を用いてデータに基づいた店舗や施設の衛生管理を可能にするとともに、衛生管理状況の発信と公開によって、安全安心で選ばれる店舗/施設づくりに貢献できることを特徴としている。内閣府が進める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「IoT社会に対応したサイバー・フィジカル・セキュリティ」で開発が進められた「Society 5.0におけるサプライチェーンの信頼性を築くデジタルトラスト」の成果を基に、日立と環境測定用IoT(モノのインターネット)センサーを手掛ける森ビル子会社のイーヒルズが共同して事業化した。「SIPで構想したデジタルトラストの考え方と、信頼性をスコア化するトラストスコアについて、コロナ禍への対応で求められる衛生管理の可視化サービスに応用した」(日立の説明員)という。
T*Platsでは、イーヒルズの環境測定用IoTセンサーから得られるCO2濃度、温度と湿度、騒音度合い、混雑指数をリアルタイムに分析して、衛生管理状況の結果を提供する。コロナ対応で求められる3密の回避であれば、CO2濃度と温度、湿度により「密閉」、騒音度合いにより「密接」、混雑指数により「密集」の状況を把握できる。なお、混雑指数については、店舗や施設のBluetoothによる無線通信の状態を1週間モニタリングした結果をベースに相対値として算出している。
T*Platsの情報は、店舗や施設の運営に活用するだけでなく、WebAPIなどによって利用者に向けた対外的な発信を容易にしていることも特徴となっている。衛生管理情報を基にした店舗/施設選びが可能になることで集客効果も期待できる。なお、T*Platsの衛生管理情報は、衛生対策状況を表す「T*Plats指数」も併せて示されるようになっている。「環境測定用IoTセンサーをはじめより多くのデジタルエビデンスが存在することで、トラストスコアであるT*Plats指数も高くなる」(同説明員)。
イーヒルズの環境測定用IoTセンサーはLPWA(低消費電力広域)ネットワークの一つであるLoRa方式の通信に対応している。これにより、ビルなどの施設運営者がLoRaの親機を用意し、施設に入居する店舗やオフィスなどに子機を設置すれば、通信インフラの導入費用も抑えられるという。
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