オリンパスが韓国のステントメーカーを買収、消化器科領域を強化へ:製造マネジメントニュース
オリンパスが消化器用メタリックステントなどの消化器科処置具メーカーである韓国のテウンメディカルの買収について発表。買収金額は子会社化後の業績に応じて最大3億7000万米ドル(約473億円)を予定している。
オリンパスは2023年2月24日、消化器用メタリックステントなどの消化器科処置具メーカーである韓国のテウンメディカル(Taewoong Medical)との間で、同社の買収について合意したと発表した。買収完了は同年6月30日で、買収金額は子会社化後の業績に応じて最大3億7000万米ドル(約473億円)を予定している。
テウンメディカルの企業ロゴ(左)と胆道/膵臓向けステント「Niti-S Hot SPAXUS Stent & Electrocautery Stent Delivery」(右)[クリックで拡大] 出所:オリンパス
テウンメディカルは、胆管、食道、気管など人体の狭窄した部位に留置して狭窄を解除する金属でできた網目状の筒であるメタリックステントを手掛ける企業だ。胆道や食道、大腸、十二指腸の治療に用いる消化器用メタリックステントのリーディングカンパニーで1992年に創業した。2021年12月期業績は、売上高が約68億円、営業利益が約13億円。従業員数は273人で、80以上の国と地域で事業を展開している。
オリンパスは、2021年12月に発表した医療分野における戦略的な方針において「消化器科」を注力する診療領域として位置付けている。ステントの重要な性能とされる拡張性と柔軟性の双方を兼ね備えた幅広いラインアップのメタリックステントを提供するテウンメディカルを傘下に加えることで、世界シェア70%の消化器内視鏡とともに展開する消化器処置具とのシナジーを強化できるという。
先進国を中心とする高齢化に伴い、消化器用メタリックステントが治療に使用される胆道がんの症例数は増加傾向にある。メタリックステントは、胆道がんなどが原因で胆道が閉塞、狭窄することにより発症する黄疸の治療で用いられている。これらの処置は低侵襲な治療とされており、患者の早期回復に役立つ。
関連記事
- 匠の技による内視鏡生産はどこまでデジタル化できるのか、会津オリンパスの挑戦
医療用内視鏡事業で業界をリードするオリンパスが主力工場である会津オリンパスを報道陣に公開。「匠の技」による高度な多品種少量生産に加えて、近年進めている生産のデジタル化の取り組みを紹介した。 - 内視鏡画像のクラウド活用で協業、オリンパスとコニカミノルタの狙い
国内医療業界におけるクラウド活用を進めるべくオリンパスとコニカミノルタが協業を発表。オリンパスの内視鏡用クラウドサービス「Vivoly+」への画像送信端末装置として、コニカミノルタが医療用画像連携装置「BlueGate」を提供することで、オリンパスの消化器内視鏡のデータを医療機関がさらに有効活用できるようにする狙いがある。 - ソニーとオリンパスの協業がさらに進化、“全部入り”外科手術用内視鏡を開発
ソニーとオリンパス、ソニー・オリンパスメディカルソリューションズの3社は外科手術用内視鏡システムの新製品「VISERA ELITE III」を共同開発した。4K映像、3D立体視、IR観察、NBIなどの機能を1台に集約するとともに大幅な機能向上も果たすなど3社協業開発製品としてさらなる進化を果たしている。 - オリンパスが大腸内視鏡AIソフトを拡充、浸潤がんや潰瘍性大腸炎を高精度に診断
オリンパスは、大腸の超拡大内視鏡画像をAIで解析し医師の診断を補助するソフトウェア「EndoBRAINシリーズ」において、腫瘍や浸潤がんを高精度に判別する「EndoBRAIN-Plus」と、潰瘍性大腸炎の炎症状態を高精度に評価する「EndoBRAIN-UC」を追加し、同年2月5日に国内発売すると発表した。 - オリンパスの新たなセキュリティ組織はなぜ“顧客中心”を掲げているのか
日立製作所が、2020年11月8〜6日に開催したオンラインイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2020 TOKYO ONLINE」に、医療機器大手のオリンパスが登壇。同社 執行役員 CISO(最高情報セキュリティ責任者)の北村正仁氏が、2019年4月に発足した新たなセキュリティ組織の体制やPSIRT構築などについて説明した。 - オリンパスがカメラ事業を売却へ、スマートフォンに押され投資会社の下で再出発
オリンパスと日本産業パートナーズ(以下JIP)は2020年6月24日、オリンパスでデジタルカメラなどを扱う映像事業を分社化し、JIPが運営するファンドに譲渡することを発表した。今後は両社でデューデリジェンスやさらなる協議を経て2020年9月30日までに正式契約の締結を目指す。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.