オリンパスがカメラ事業を売却へ、スマートフォンに押され投資会社の下で再出発:製造マネジメントニュース
オリンパスと日本産業パートナーズ(以下JIP)は2020年6月24日、オリンパスでデジタルカメラなどを扱う映像事業を分社化し、JIPが運営するファンドに譲渡することを発表した。今後は両社でデューデリジェンスやさらなる協議を経て2020年9月30日までに正式契約の締結を目指す。
オリンパスと日本産業パートナーズ(以下JIP)は2020年6月24日、オリンパスでデジタルカメラなどを扱う映像事業を分社化し、JIPが運営するファンドに譲渡することを発表した。今後は両社でデューデリジェンス(資産価値を評価する手続き)やさらなる協議を経て2020年9月30日までに正式契約の締結を目指す。
デジタルカメラ市場がスマートフォン端末などに押され縮小を続ける中、オリンパスの映像事業は厳しい状況が続いている。生産拠点の再編などによるコスト構造の見直しや収益性の高い交換レンズを強化するなど、収益構造の改善を図ってきたものの、2020年3月期(2019年度)まで3期連続の赤字で、2019年度の実績では売上高が487億円、営業損失が183億円となっている。さらに、2020年度の業績見込みについても、営業損益は104億円の赤字見通しとなっていた。
これらの状況を受け、オリンパスではよりコンパクトで筋肉質かつ機動的な組織構造とすべく映像事業を分社化し、JIPのもとで事業を展開することが最適だと判断しJIPと譲渡に向けた意向確認書を締結した。
今回の譲渡は、グローバルの映像事業を対象にしており、映像事業の分社化およびJIPへの譲渡後も新会社が構造改革後の研究開発や製造体制を維持することを前提としている。また、過去に販売した映像事業におけるオリンパス製品のカスタマーサポートも継続する方針である。ただ、今後の製品における各種ブランドの取り扱い(オリンパスブランドなど)については「今後の話し合いで詳細を決める」(広報)という。
取引の具体的な内容は、今後両社間の協議で決定するとしているが、基本的にはまずオリンパスの映像事業を分社化しオリンパスからJIPに対し分社化した新会社を譲渡する方法をとる。最終契約は2020年9月末までに行い、取引の完了は2020年12月末を目指す。
オリンパスの映像事業は、1936年に写真レンズ「ズイコー」を用いた写真機の製造販売を開始して以来、革新的なハーフサイズカメラ「オリンパス・ペン」、世界初のマイクロカセットテープレコーダー「ズイコーパールコーダー」、ミラーレス一眼カメラ「オリンパス OM-D シリーズ」など、ユニークな商品開発力で独自の立ち位置を築いていた。
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