検索
連載

振動・騒音対策の前に「周波数分析」の必要性と原理を理解するCAEと計測技術を使った振動・騒音対策(4)(4/4 ページ)

連載「CAEと計測技術を使った振動・騒音対策」では、“解析専任者に連絡する前に、設計者がやるべきこと”を主眼に、CAEと計測技術を用いた機械の振動対策と騒音対策の考え方や、その手順について詳しく解説する。連載第3回では「周波数分析」について取り上げる。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

周波数分析をやってみよう

 Excelで周波数分析をやってみましょう。まずは、ベースになるテスト波形を作りましょう(式14)。3つの周波数成分を持つコサイン波形の和とします。

式14
式14

 f(t)は時間tの連続関数なので、時間刻みΔtで離散化します。n番目のデータdatanは次式となります。

式15
式15

 周波数fi、振幅ai、位相φi表2のようにしましょう。

テスト波形の振幅と位相
表2 テスト波形の振幅と位相

 2[s]分のデータを測定したとして、N=2048とすると、時間刻みΔtは次式の値となります。

式16
式16

 データ列datan図11のようになります。

テストデータ列
図11 テストデータ列[クリックで拡大]

 では、これをExcelで高速離散フーリエ変換してみましょう。結果は図12のようになりました。

周波数分析結果
図12 周波数分析結果[クリックで拡大]

 おおっ! ちゃんと振幅3の30[Hz]、振幅4の150[Hz]、振幅5の300[Hz]だと分かりました。このように、周波数分析をすると元の信号の周波数と振幅が分かります。振動対策と騒音対策では、最初に振動データと騒音データを周波数分析することになります。



 次回は、高速離散フーリエ変換をもう少し詳しく説明します。そして、周波数分析をするマクロ付きExcelファイルを配布します。では、次回までの宿題です。図12のデータを使って「離散逆フーリエ変換DIFT)」をしておいてください。離散逆フーリエ変換は式17で表されます。 (次回へ続く

式17
式17

⇒「連載バックナンバー」はこちら

Profile

高橋 良一(たかはし りょういち)
RTデザインラボ 代表


1961年生まれ。技術士(機械部門)、計算力学技術者 上級アナリスト、米MIT Francis Bitter Magnet Laboratory 元研究員。

構造・熱流体系のCAE専門家と機械設計者の両面を持つエンジニア。約40年間、大手電機メーカーにて医用画像診断装置(MRI装置)の電磁振動・騒音の解析、測定、低減設計、二次電池製造ラインの静音化、液晶パネル製造装置の設計、CTスキャナー用X線発生管の設計、超音波溶接機の振動解析と疲労寿命予測、超電導磁石の電磁振動に対する疲労強度評価、メカトロニクス機器の数値シミュレーションの実用化などに従事。現在RTデザインラボにて、受託CAE解析、設計者解析の導入コンサルティングを手掛けている。⇒ RTデザインラボ


前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る