国産ドローン普及の壁はカスタマーサービス、TOAプロジェクトが共創で対応:ドローン
Take Off Anywhereプロジェクト(TOAプロジェクト)は、同プロジェクトに参画するVFRとSHIFT PLUS、エレパが連携して、ドローン業界のカスタマーサービス代行事業を開始することを発表した。
ドローン技術の確実な社会実装を目指すTake Off Anywhereプロジェクト(TOAプロジェクト)は2023年2月9日、高知県いの町とオンラインで会見を開き、同プロジェクトに参画するVFRとSHIFT PLUS、エレパが連携して、ドローン業界のカスタマーサービス代行事業を同年3月に開始することを発表した。
新たに立ち上げるカスタマーサービスでは、VFRが中核的な役割を担い、ドローンのカスタマイズや見積もりをWebサイト上で簡単に行えるように同社が開発した「Webコンフィグレーター」も活用していく。IT企業であるSHIFTの子会社で高知県を拠点にITソフトウェアのカスタマーサポートを積み重ねてきたSHIFT PLUSと、同じく高知県に本社を構えてITハードウェアのフィールドサービスを行うエレパがVFRと連携して、セールスサポートやテクニカルサポート、代替機レンタルや保守部品のスピード発送などの業務を担う。VFR以外の両社とも高知県の企業だが、カスタマーサービス業務の多くが電話やメールベースになるため十分に全国をカバーできるとしている。
VFR 代表取締役の湯浅浩一郎氏は「国内のドローンメーカーの多くはベンチャー企業であり、ドローンの開発に多くのリソースをかけているのが現状でカスタマーサービスまで手が回っていない。このことは、省庁や自治体などを中心とした国産ドローンを求める顧客の不安要素になっていた。TOAプロジェクトとしては、協業による共創のサポート体制として今回のカスタマーサービス代行事業を立ち上げ、課題の解決を図りたい」と語る。
ノートPCメーカーであるVAIOからスピンオフしたVFRは、国内ドローンメーカーから開発と製造を広く受託している。国産ドローン製造のシェアでは点検機体で40%、物流機体で100%、ドローンポートで100%となるなど、ドローンのサプライチェーンの中でも調達/製造に深くコミットしている。今回のカスタマーサービスでは、国内ドローンメーカーの企画/開発部門と連携して調達/製造を行ってきた知見やノウハウを基に開発した、営業/販売に役立つWebコンフィグレーターを提供する。現在公開しているβサイトでは、ACSLの「SOTEN」と「PF2-AE INSPECTION」、プロドローンの「PD4B-M」、VFRのドローンポートがラインアップされており、今後もドローンのラインアップを増やしていく方針である。
会見では、VFRとACSL、理経が共同開発した「ドローン・バーチャルトレーナー」も紹介された。SOTENのプロポを使って、ドローンの操縦訓練を仮想空間内でいつでもどこでも行えるようにしたシミュレーターで、多様な実務環境や緊急時の対応方法が学べるという。2023年春ごろから、GPUを搭載する高性能PC向けのソフトウェアとして提供したい考えだ。
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