集合住宅などの充電環境の普及見込み、2030年に2021年比250倍:電動化
富士経済は2023年1月31日、法人や団体が設置するEV(電気自動車)用充電器の市場調査の結果を発表した。
富士経済は2023年1月31日、法人や団体が設置するEV(電気自動車)用充電器の市場調査の結果を発表した。
集合住宅や商業施設、宿泊施設、レジャー施設などが設置する、認証や課金の機能を搭載した充電器を対象とした。2022年時点の累計設置台数の見込み値は5700台で、前年から7.1倍に増加した。経済産業省が大規模な充電インフラ予算65億円を整備したことで、設置の引き合いが増えたとしている。
また、CEV補助金で集合住宅に設置する充電器も対象になったことも、導入が広がった要因だという。これまでは充電器を利用する車両の少なさからマンションでの合意形成が難しいとされてきたが、認証/課金システムを利用した受益者負担の仕組みづくりや導入コストを下げるプランなどにより、設置が急拡大している。ただ、半導体不足の影響で通信系の部品の調達が遅れ、一部の普通充電器は供給が追い付かなかった。
2023年の充電インフラ整備予算は200億円で、さらに充電器の設置が加速すると見込む。今後は、新築に限らず集合住宅での導入が進むことなどがけん引役となり、2030年には2021年比250倍となる20万台に設置台数が増えると予測する。
充電コンセントについては、2022年の累計設置台数の見込みが51万6500台で、前年比25.7%増に拡大した。充電器と比べて安価なため年間10万台強のペースで出荷されているが、耐久性が低いためこの半数程度がリプレース需要だという。PHEV(プラグインハイブリッド車)の販売時に充電コンセントの設置を勧めるディーラーが増加していることなどから、設置が進んでいる。
今後は、既存の集合住宅への設置や、新築の集合住宅での標準装備化による充電コンセントの導入も進むと見込む。2030年には、2021年比3.4倍となる139万1500台に市場が拡大するとしている。
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